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天國へのキッス1

2012/02/04 Sat 04:40

                1

 それは大学を卒業した年でした。大学時代、ありとあらゆる出版社に送りつけていた小説「嗚呼、吾輩は人間失格なり」という、太宰と漱石のパクリのようなデタラメな駄作品が、なぜか地方の小さな出版社の目に止まり、その出版社から「あっぱれ太閤秀吉賞」というなんだかわけのわからない賞を貰った僕は、品粗なトロフィーと共に次の作品の依頼を受けました。
 僕はたちまち有頂天になりました。やっと僕の作品が世に認められたんだと嬉しくなった僕は、さっそく親戚の叔父の家へ行き、「次の締め切りでてんてこ舞いですよ」などとニヤケながら、あたかも売れっ子作家でもあるかのように、白紙のスケジュー帳などパラパラさせながら、叔父からまとまった金を借りました。
叔父は田舎者の馬鹿ですから、地方の無名出版社がいい加減に出した「秀吉賞」などというインチキ臭い賞でも飛び上がらんばかりに喜んでくれ、「ウチの家系から小説家のセンセ様が出るとはなぁ」と感激しながら10万円を貸してくれたのです(高校時代にも演歌歌手になるとウソを言いこの叔父から5万円借りた事があります)。

 さっそく僕はその10万と原稿用紙を持って、鄙びた温泉宿に出掛けました。
締め切りに追われた作家が缶詰になると言えば、やはり鄙びた温泉街です。そう思った僕は、あえて辺鄙な温泉街を選び、そして今にも朽ち果てそうな古い温泉旅館に長期滞在をすることにしたのでした。

 しかしその温泉街は僕がイメージするような風情のある温泉街ではありませんでした。
湯治客の下駄の音が遠くで響き、窓に掛けられた簾からほんのりと湯の香が漂うそんな情緒溢れる鄙びた温泉街をイメージしていた僕でしたが、しかしその温泉街は、赤やピンクの卑猥な看板が立ち並び、通りではフィリピンホステス達のタカロク語とポン引きの叫び声が飛び交っています。部屋の窓を開けてみれば、湯の香どころか、隣のパチンコ屋の換気扇から噴き出すヤニ臭い空気がまるで火炎放射器の噴射の如く、恐ろしい勢いで部屋の中へと吹き込んで来る始末なのです。
 しかも、どうやらこの旅館は助平な湯治客を専門に休憩させているらしく、夜ともなると部屋のあちこちからいかがわしい女の声が響いて来るではありませんか。
こんな状態では夏目漱石どころではございません。
 僕は女達の出産時のような叫び声に耳を塞ぎながら急いで1階へと降りると、ヤキイモを頬張りながらテレビを見ていた宿屋のおババに言いました。
「宿を変えたいので、前払いしていた宿泊代を返して下さい」
 するとおババは、テレビから視線をチラッと僕に移し、やきいもで黄色くさせた舌をペチャペチャさせながら「そんなもんねぇよ」と吐き捨てました。
「しかし」と僕が言うと、「しかしもかかしもねぇもんはねぇだよ。あの金わぁ、父ちゃんがぜーんぶ競馬で使ってしまっただよ」と、気怠そうに顔でニヤニヤと笑い、アナログテレビのチャンネルをカタカタと回したのでした。

 そんな事から、結局僕は前金を払った1週間はこの著しく環境の悪い部屋で小説を書く事となるのですが、しかし、美しき小説というものは美しい環境から生まれる物だと信じきっている僕ですから、当然この汚い環境で美しい作品などできるわけがなく、当初は「果てしなき愛の行方」という題名だった恋愛小説も、いつしか「水虫借金地獄」というヤケクソなタイトルへと変わり、恋愛小説もなにもあったものではなくなってしまったのでした。

 そんなある時、宿の近くにある銭湯へと出向きました。
せっかく温泉宿に泊まっていながら銭湯とはいささか変ではございますが、しかし、あの宿の「大浴場」はあまりにも汚くて、風呂というより便所と表現した方がよさそうなほどなのです。タイルは湯泥で黒ずみ、浴槽を洗っていない為に温泉は垢と陰毛に埋め尽くされ、ある時など排水口に使用済みのコンドームがへばり付いていた事もございました。しかも僕が大浴場に入ると、必ず同性愛者らしきおじさんが出没し、洗髪している僕の身体を湯の中でジッと見つめながら性器を膨らませたりしているのです(そのおじさんが宿屋の主人だと言う事は後で知りました)。
 そのような理由から、せっかく温泉宿に泊まっていながらも近くの銭湯へ行かなければならなくなっていたのでした。

 そんな銭湯の帰り道。火照った身体を生温い夜風に包まれながら、浴衣の酔客の下駄の音と共に宿へ繋がる路地に入った時、ふいに角刈りのポン引きに「兄ちゃん」と呼び止められました。
ポン引きは「仁義なき戦い」で呉市を走り回るチンピラのようなアロハシャツ姿で、僕の顔を見ながらニヤニヤと笑っています。
「あんた小説家らしいのぅ。末広軒のマー坊から聞いたでぇ」
ポン引きはそう言いながら馴れ馴れしくも僕の肩に手を回して来ました。末広軒というのはいつも僕が出前を取っている大衆食堂で、マー坊というのはそこで働く出前持ちです。いつもレバニラ炒めの汁を出前桶の中にダラダラと垂らしてはついでに鼻水まで垂らしているという知能遅れの悲しい中年です。
 僕の肩に腕を回すポン引きは、腋の下から茹でたネギのような猛烈な悪臭を漂わせながら「心配せんでええ。ええ子世話したるよ」と、いきなり何の前触れもなく勝手な事を言い、そのまま僕の肩を押しながら、更に奥の路地裏へと連れ込もうとしました。
「いえ、結構です……」
 僕は足を踏ん張りました。しかしポン引きは僕の肩を抱きかかえては、「ええからええから。勉強の為にも女の子の顔だけでも見て行きいや」と、奥へ奥へと連れ込もうとするのです。

 ま、確かに、現在僕が書いている「水虫借金地獄」という小説は、親の借金から風俗で働かされていた娘が客から水虫をうつされるという悲劇であり、風俗経験が少ない僕には「勉強の為にも」是非ともこういった萎びた女郎屋の女の子や風景を見ておきたいところなのではございますが、しかしながらこの薄暗い路地にひしめき合うように並んでいる、まるでアヘン戦争時の上海の売春窟のような場所に足を踏み入れるにはかなりの抵抗を感じさせられます。

 交番のおまわりさんに連行される泥酔者の如く、ポン引きに肩を抱えられながら路地へと連れ込まれる僕は、三歩進む度に一度足を止めながらも「でも……」と顔を顰めていると、ふいにポン引きは「おまえ、いくら持っとんねん?」と生暖かい口臭を僕の顔に吐きかけて来ました。
 総額6万円はポケットの中にありました。僕は、あの宿屋が信用できず、銭湯に行く時でさえ全額肌身離さず持っていたのです。
 しかし、こんな男にそんな大金を持っている事がバレたら大変です。根こそぎ取られてしまうのが関の山です。そこで僕は「8千円しかありません」と嘘を言いました。
 するとポン引きは、アメ横で毛ガニを売っているテキ屋のようなダミ声で、「よしゃ。8千円で手打とう。8千円で男にしたる」と、勝手な事をほざき、なにやら妙に嬉しそうに歩調を早めたのでした。

 ドアを開けっ放しにした小さな店が5、6軒並んでいました。店の前には、薄汚いオバさん達が煙草をスパスパと吸いながら折りたたみ式のパイプ椅子に座っています。
 角刈りのポン引きは、そんなおばさん達に「この青年は小説家のセンセやでぇ~」と言って回ります。僕はその度に恥ずかしくて恥ずかしくて下を向いてしまったのですが、しかし、今思うと、そんな話しをそのオバさん達が信用しているはずはなく、今更ながらあの時の照れ笑いをしていた自分が恥ずかしく思えて仕方ありません。

 連れていかれた店は「バッカス」という名前の店でした。カウンターに椅子が6席程並んでいるだけの細長い小さな店です。店のカウンターに毛玉だらけのセーターを着た髪の薄い老婆が座っており、一瞬これが相手か?と「ギョッ」としましたが、しかし、ポン引きがその老婆に「マキは空いてるか?」と聞いた事で、それが僕の相手ではないと安心したのでした。

         2

 店の奥にある10段ほどしかない細い階段。階段はギシギシと音を立て今にもボキッと折れそうです。階段を先に上ったポン引きの尻を下から見つめる僕は、何度そのまま逃げようと思ったか知れません。
先に2階に上がったポン引きは「小説家のセンセを連れて来たったでぇ」と部屋に向かって叫ぶと、すぐさま階段を覗き込み、下でモジモジしている僕を見ては「なにしてんねん、早よ上がりいや」と何故か急に関西弁で手招きししたのでした。

 2階の部屋は6枚の畳が敷き詰められたカビ臭い部屋でした。小さな卓袱台と敷きっぱなしの煎餅布団が1枚という実に簡易的で殺風景な部屋でしたが、しかし『今日からブラバス!』と書かれた草刈正雄の古臭い大きなポスター(資生堂)が壁にデカデカと貼られており、それがかろうじてこの部屋の雰囲気を明るくさせておりました。

 煎餅布団の上には「マキ」と呼ばれる女が、そこらじゅうに爪を飛ばしながらも足の爪をプツンプツンと切っております。
「8千円しか持ってへんらしいから、それであんじょう頼むわ」
 ポン引きはマキにそう告げると、僕の尻を大袈裟に叩くフリをしながら、「気張りいやセンセ」といやらく笑い、上方の漫才師のように戯けながらまたギシギシと階段を降りて行きました。

 ポン引きが消えてもまだ爪をプツンプツンと切っていたマキは、爪を切った指先を確認するかのように覗き込みながら、「座れば」と、立ったままの僕に呟きました。
 僕は、マキという女の茶髪の奥にあるツムジをジッと見つめながら、無言でその場に腰を下ろしました。
 座ったままマキの爪切りショーを無言で眺める僕は、そのマキという女の、シミーズから曝け出されている太ももの張り具合を見て、以外と若いのではないだろうかと想像しました。

 爪切りが最後の小指に差し掛かった時、顔を伏せたままのマキが「前金ね」と気怠そうに言った。僕は「あ、はい」と焦りながら財布を広げる。マキが爪を切っているうちにこっそり金を払っておかなければ、財布の中の六万円がバレてしまうのだ。そう思って慌てて金を出そうと思ったのですが、しかし財布の中には1万円札しか入っていませんでした。

 小指の爪を切り終わったマキが、布団の上に飛び散った爪を手の平でバサバサと履き散らしながら、1万円を摘んだままの僕にチラッと顔を向けました。
 とても小顔で大きな目をしたマキは、人気絶頂の頃の安室奈美恵によく似ております。

「どうしたの?……」
 黙ったままの僕にマキはそう呟きながら、畳に散らばった爪のカスを手の平でバサバサと追い払いそれを階段の下へ落とし始めます。
「あのぅ……お釣りは……」
 恐る恐るそう呟く僕に、マキは大きな目をチラッと向けながらクスッと鼻で笑いました。
 そのマキの笑顔を妙に愛らしく感じた僕は「チップです」とおもわず言ってしまったのでした。

 マキは布団の中に下半身を滑り込ませました。そして安っぽいシミーズを頭から脱ぎ取ると、そこに現れた形の良いオッパイをプルルンと震わせました。
「早よ服脱いで」
 マキはそう言いながら布団の中でモゾモゾとパンティーを脱ぐと、脱いだパンティーを煎餅布団の下にスっと押し込みました。
 僕も慌てて服を脱ぎました。トレーナーを頭から脱ごうとしてトレーナーを引っ張ると、不意に自分の腋の下から変なニオイが漂っているのに気付きました。僕の腋の下は、今さっき銭湯に行ったばかりだというのにもう汗だくで、その汗が腋の下で蒸れては異様なニオイを漂わせていたのです。そのあまりにも強烈な腋臭に、先程ポン引きに対し(ワキガのくせに!)と心の中で怒鳴っていた事による祟りなのではないかと思った程でした。

 トランクス1枚になった僕が、腋をギュッと閉めたままマキを見つめておりますと、マキは面倒臭そうに「パンツも脱いで」と言いながら、天井からぶら下がっている電気に繋がったヒモをカチ!と引き、部屋の電気を茶色い豆電球にしました。

 全裸となった僕は、野良犬のように貧弱に痩せた体をコソコソさせながら布団に入りました。
 布団の中はマキの安っぽい香水の匂いが生温かく充満しておりました。薄暗い豆電球の下で怪しく光るマキの大きな目が、どうしたらいいのかわからない僕をジッと見つめていました。
「……もしかして初めて?」
 マキが眉間にシワを寄せながら肉付きのイイ唇をプルプルさせてはそう呟きました。
 もちろん僕は初めてではありません。高校時代、付き合っていた女の子もいましたし、大学時代には目ん玉が飛び出る程高い吉原のソープランドにも行ったことがあります。数はそれほどこなしてはいませんが、まぁそこそこのセクス経験はあるにはあったのです。ですから僕が「いえ……」と答えると、マキはおもしろくなさそうな表情で「じゃあ早くしてよ」と寝転がったまま言います。
 僕はこのマキという女を抱く前に、彼女の事をもっと知りたかった。彼女の年齢がいくつで出身はどこで、そしてどんな理由でこの世界に入ったのかなど、「水虫借金地獄」の為にも聞きたい事は山ほどあったのですが、しかし今のこの状況はそんな事をのんびり聞いている暇はなさそうでした。

 僕は腋をキュッと閉じたまま、枕の上に頭を乗せているマキの体に覆い被さりました。
 ぎこちなく上に乗って来た僕に合わせマキがゆっくりと股を開く。マキは寝転がったまま僕の股間に手を伸ばし、そしてフニャフニャのチンコを細い指で摘むと、それを業務的にシコシコと上下し始めました。
 不意にマキと目が合いました。マキは布団の中で僕のチンコをシコシコしながら、ジッと僕の目を見つめています。
「……いくつ?」
 マキは大きな目で僕を見つめながら、そう気怠そうに聞きました。
「22です……キミは?」
 僕がそう聞くと、不意にマキがクスッと笑いました。
「どうしたの?」とまた僕が聞くと、マキは「キミって言い方、変」と、大きな胸を震わせてはケラケラと笑いました。
 そして笑いながら「いくつに見える?」と、妙に色っぽくマキが聞くと、真正面で顔を近づけていた僕の唇にマキの甘ったるい息が吹きかかりました。
 このままキスをしたい!という衝動に駆られました。が、しかし、昔、大学時代の先輩から「風俗嬢にキスを迫るのは田舎者だぜ」と言われた事のある僕はそれをふと思い出し(その時、ピンサロ嬢にキスを迫って頬を引っ叩かれたからです)、マキのピンク色に塗られた唇を見つめたままその衝動をグッと堪えました。

「21か2くらい?」
 僕がそう答えると、マキはわざとらしくプクッと頬を膨らませ「まだ19ですよ」と怒ったフリをしました。
 しかし、マリはすぐに元の顔に戻ると、布団の中を覗き込みながら「元気ないね」と呟きました。
 いつもなら週刊大衆のグラビアでもすぐに勃起する僕でしたが、しかしその時は緊張しているためか僕のチンコはダラリンと首を垂れたままです。
 そんな僕のチンコをマキは強く握ったり引っ張ったりと色々と試しますが、しかし僕のチンコはウンともスンとも反応を見せず、そのうちマキはイライラして来たのか時折大きな溜息を漏らし始めました。

 マキのその溜息が更に僕を焦らせ、気の弱いチンコは余計腹の中へと引っ込んでしまいます。焦る僕の腋からはタラタラと汗が垂れ始め、例のニオイがマキにバレやしないかとヒヤヒヤしておりますと、急にマキがムクリと体を起こし、「今回だけサービスだからね……」と言いながら、僕の身体を布団の上にゆっくりと寝かせたのでした。

         3

 今にも崩れ落ちて来そうなシミだらけの天井を見つめながら、黙ったままの僕はマキにその身をまかせていました。
 マキは枕元に転がっていたキティーちゃんのポーチから「紙おしぼり」とプリントされたビニール袋を取り出すと、それを整った前歯でプツっ!と噛み千切り、中からゴワゴワとした紙おしぼりを取り出しました。そしてもう片方の手で僕のチンコの皮をヌルッと捲ります。一応、ここに来る前の銭湯にて、そのチンコは牛乳石鹸で丹念に洗ったつもりですが、しかし所詮は仮性包茎です、信用できません。仮性包茎というのは「さっき洗ったばかりだから」と安心していては大変な大惨事を巻き起こす危険性があり、特に僕のような多汗症の人間には油断大敵です。緊張すると皮の中で大量の汗が噴き出し、それが皮の中でムシムシと蒸され、たとえ短時間であろうととんでもない悪臭の温床となりうるのです。
 
 果たして僕の悪臭にマキは白目を向いて泡でも噴いているのではなかろうかと心配になりながら、そっと布団の中を覗いてみますと、昭和感漂う豆電球の下でセッセとけなげに僕のチンコを拭き取るマキの姿がボンヤリと見えました。

 皮からムキ出した真っ赤な亀頭をゴワゴワとする紙おしぼりで簡単に拭き取ったマキは、その紙おしぼりを布団の外へポイっと放り投げると、左手で茶髪の髪を押さえ付けながら僕のチンコに顔を近づけて来ました。
 マキの小さな唇がまるでうどんを啜るかのように、僕の萎んだチンコをツルンと口の中に吸い込みました。
 紙おしぼりの冷たさから一転して、マキの口内の温もりが亀頭を優しく包み込みます。
 マキは萎んだチンコの先を唇で吸いながら、まるで『おもち』を口で伸ばすかのように萎んだチンコをビューンと伸ばしました。そしてその伸びたチンコをジュルルルッと卑猥な音と共に口内に吸い込みます。
 しばらくそれが続いておりました。
(立て!立つんだ!)と、丹下段平のように心で叫びます。しかしチンコは一向に立つ気配を見せてはくれません。そのうち緊張した僕の尻の谷間と腋の下からは大量の汗が噴き出し始めました。僕はその汗の奇妙なニオイが布団に充満し、今にもマキが「臭い!」と発狂するのではないだろうかと心配になりました。
そんな緊張を解すべく、僕は壁に貼られた草刈正雄のポスターを見つめました。それは優に30年は経っているだろうと思われる古いポスターでした。
(こいつは、30年間この部屋で、いったい何人のセックスを見て来たのだろうか……)
 そう思いながら正雄の澄んだ目をジッ見ておりますと、ふいに『赤線を見続けた男』というタイトルが僕の頭に浮かんできました。赤線で繰り広げられる強欲な人間達の様々な痴態。それを30年間見続けて来たポスター。そんなポスターが性欲に狂った男達と金に狂った女達の壮絶な姿を赤裸々に語る……。
 これはおもしろそうだ!と妄想する僕が目を爛々と輝かせていると、布団の中から「いい加減にしてよね……」というマキの声。
 現実に戻った僕は再び焦りの中へと突き落とされたのでした。

 ちゃぷ……ちゃぷ……という頼りない音が、延々と布団の中で続いていました。
 僕は焦っていた。このままだとマキに恥をかかせてしまう。というか自分自身も恥をかく。そう思った僕は最高にエロい事を想像しようと卑猥な妄想を頭の中で繰り広げました。

 そんな時、敷き布団の下から真っ赤な布切れがちょこんと顔を出しているのが見えました。
 そう、それはつい先程マキが脱いだパンティーです。
 僕は布団の中でモゾモゾと動いているマキをソッと確認しながら、マキに見つからないよう静かにパンティーを摘み、スルスルスルっと布団の下からソレを抜き取ります。シワクチャの小さなパンティーでした。それを畳の上でこっそり指で広げ、マキの性器があたっていた部分を探し出しました。
 ボンヤリと輝く豆電球の明かりに照らされたその部分には、なにやらベッチョリとした汁が塗り付けてあります。その1本の線はきっとマキの性器の形なのだろうと思うと、僕はとたんに興奮に包まれ、同時に今布団の中で僕のチンコを一生懸命舐めているマキが無性に切なくなって来ました。
 マキに見つからないよう、ソッとパンティーを鷲掴みすると、マキのそのシミにこっそりと鼻を近づけました。
 いきなりツーンという刺激臭が僕の脳を刺激しました。それは正直言って激臭です。
 そんなマキの秘密のニオイを嗅いだ僕は、腋の下のニオイや包茎チンコのニオイでクヨクヨしている自分がなんだかバカらしくなって来ました。
 僕は、マキの激臭パンティーを元の場所にソッと戻すと、布団の中のマキに「ねぇ……」と呼びかけた。
「ん?……」とマキはフニャフニャのチンコを喰わえたまま顔を上げる。
「僕が上になってもいい?」
「……立つ?」
 マキは小動物のように首を傾げました。

 マキを布団に横たえさせると、僕はあのマキのパンティーの匂いを忘れぬうちにと、急いでマキの股間へと潜り込みました
 布団の中に潜り込むと猛烈な匂いが充満しておりました。それはまるで大学時代に徹夜麻雀をした後のコタツのニオイのようです。
 それが僕の腋臭なのかチンコ臭なのか、それともマキの股間から発せられている激臭なのかはわかりませんが、とにかくそれは吐き気を催すほどハンパじゃないニオイでした。

 カエルのように股を開いたマキの股間に顔を近づけると、その充満する悪臭の根源がここである事にすぐに気付きました。それが判明すると、またしても僕の中で妙な自信が湧いて来ました。
 マキの股間から発せられる、スパゲティを注文した時に一緒に付いて来る粉チーズのようなニオイに咽せながら、僕はそのドス黒いマキの性器をレロレロと舐めました。
「あっ……あぁぁん……」
 布団の外から、まるで安物のAVのようなわざとらしいマキの声が響いて来ます。
 あまりの臭さに、「おえぇぇぇ」と嗚咽しそうになりながらも、僕は必死にマキの性器に舌を転がしました。
 わざとらしくマキが身体を捩ります。こんな乱暴なクンニで感じるわけないだろう、と僕は思いながらも、同時に布団の外で僕をジッと見つめている草刈正雄にも(彼女が嘘声だって事はキミが一番よく知ってるよね)と、心で語りかけました。

 マキは大袈裟に腰を上下に振りながら「もっと!もっと!」といやらしい声をあげます。
 すると、腰を振っているマキの性器からドクドクと白濁の汁が溢れ出て来るではありませんか。
(これはもしかしたら本当に感じてるのかも知れないぞ……)
 そう興奮する僕の頭の中に、いきなり草刈正雄の声がソッと響きました。
(それは前の客の精液だぜ)
 すかさず僕は布団の上にブチョ!と唾を吐きました。口の中に残っている粘りっけがなくなるまで唾を押し出し、必死になって吐き出しました。
 前の客。それがどんな人物かは存じませんが、きっとそこらの路地を練り歩いている浴衣姿のデブハゲ親父に違いありません、いや、たとえそれが草刈正雄のモノであったとしてもやっぱり気持ちが悪い……。

 舌に絡み付く粘りを爪で引っ掻きながらベラ掃除をしておりますと、ふいに布団の外から「どうしたの?」というマキの心配そうな声が聞こえて来ました。
「いえ、なんでもありません……」
 それは、彼女を傷つけたくないという僕の優しさでした。
「……立った?」
 すかさずマキの心配そうな声が返ってきました。彼女は時間を気にしているようです。
 布団の中でチンコを覗き込むと、それはモーニングセットの半熟卵程度にほんのりと固くなっており、このくらいならば何とか入れれそうな具合です。
 そう思った僕は、ゆっくりと布団から這い出しながら、マキの股間に半立ちのチンコの先をペタペタと押し付けました。
 布団から這い上がる途中、僕の腋の下からはガンモドキのようなニオイがプ~ンと洩れておりましたが、しかしそんな事はもう気にしません。浴衣のハゲ親父の精液を舐めたという自信が僕を大人にしてくれたのです。
 僕はふと草刈正雄のポスターを見つめました。そして心の中で(僕だってやる時はやるんだぜ)と呟くと、その半立ちのチンコをグイッ!とマキの股間に押し付けました。
 巨大なマキのブラックホールはいとも簡単に僕の半起ちチンコを根元まで飲み込んでくれました。
 僕の腕の中で若い頃の安室奈美恵が腰をエビ反りさせながら「あぁぁん!」と嘘くさい声を張り上げます。
 僕のチンコはマキの中で擦れる度にグングンと膨れ上がり、亀頭に密着するマキの肉がほどよく刺激を与えくれてはその快感を更に増して行きました。

 僕は腰を振りながらマキの胸を揉み、そして小さな尻肉をグイグイと鷲掴みします。マキの張りのある肌は僕の指を跳ね返すかのようにピチピチとしております。
 そんなマキの身体を弄りながら腰を振っていると、ものの3分も経たないうちに天国の光が見えて参りました。

「あっ……うっ……」と、唸る僕に気付くマキは、19才と言えどさすがにプロです。
 少しでも早く客を天国へと御案内すれば、彼女はそれだけこの地獄から早く抜け出せるのです。
 そんなイキそうになっている僕の肩に腕を回したマキは、僕の耳元で「中で出していいよ……いっぱい出して……」と切ない声で呟くと、そのまま小さな唇を僕の頬に走らせ、僕のカサカサの唇に激しく吸い付きました。
「風俗嬢にキスを迫るのは田舎者だぜ」という大学時代の先輩の声が頭の中で響きました。
 しかし、マキは自らの意思で僕の唇に吸い付き、そしてその小さな舌を僕の口の中でニョロニョロと動かしているのです。

 ふいに濃厚なディープキスをされた僕は、彼女のその甘く切ない舌感に脳味噌をヒクヒクと痙攣させながら、ビュビュッ!と大量の精液を膣内に発射致しました。
 久々の中出しでした。亀頭にマキの肉感を存分に感じながら、僕はマキの腹の上でみるみる溶けてしまったのでした。

(二話に続く)
          目次 2話


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