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普通の妻1

2012/05/31 Thu 00:14

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              1


見てる。正面に座っているあの男、やっぱりさっきから私の足を見てる・・・・

電車に揺られる京子は、正面の男の目の動きを気にしながらミニスカートの膝の上に買い物袋をソッと置いた。

いつも京子が利用している電車はいつも空いていた。だから痴漢に遭う恐れはなかった。しかし電車が空いている分、向かい側の席からの視線が気になる。特にいつもミニスカートを履いている京子は、向かいの席に男性が座るとミニスカートの中が見えているのではないかといつも心配になっていた。

正面に座るスーツ姿の男は明らかに京子の足をジロジロと見ていた。歳は40代であろうか、濃紺スーツの肩に白いフケをチラつかせながら、時折だらしない無精髭をジャリジャリと擦っては携帯電話を弄っている。京子が視線を変える度に男は携帯電話の画面にソッと目を戻すが、しかし、すぐにまた男の視線は携帯から京子の足へと移動するのだった。

京子はこの男に見覚えがあった。先日、隣町のデパートへ買い物に行った帰りにも、電車でジロジロと足を見られては嫌な思いをしたのだが、あの時の男も確かにこの男だった。

時刻はまだ3時30分。この男はいつもこの時間にこの電車を利用しているようだが、しかし、こんな中途半端な時間に電車に乗っているサラリーマンは珍しい。出勤には遅すぎるし帰宅には早すぎる。それともこの男はセールスマンなのだろうか?でもそれにしては不潔すぎる・・・・などとあれこれ考えていた京子だったが、車窓から見慣れた駅の風景が見えると荷物を持って素早く立ち上がり出口へと向かった。

京子が男に近付くと、男の視線は京子の動きに合わせて動いた。男の視線を感じながら男の前を通り過ぎる瞬間、京子はチラッと男の顔に視線を向けた。男と目が合う。

男の赤く濁った充血したその目は、まるで覇気のない死人のような目だった。

(嫌な目・・・・)
慌てて視線を反らした京子は素早く男に背を向け、出入口に立つポールに手を添えながら電車が止まるのを待った。出入口のすぐ横の座席にだらしなく座っていたその男からはプンプンと酒の匂いが漂って来た。
扉が開くなり急いで電車を飛び降りた京子は、だらしない中年男のいやらしい視線と昼間から漂わす酒の匂いに不快感を現しながら、急ぎ足で改札口へと向かったのだった。


               2


その夜。いつものようにベッドの中で1人甘い息を洩らしていた京子だったが、しかし、どうもいつものように調子が出ない。京子は枕の上でパッと目を開くと、大きな溜息を洩らし、それまで乳首を弄っていた指を止めては薄暗い天井をボンヤリと見上げた。

新婚2年目にして旦那が単身赴任となった京子には、自慰は唯一のストレス発散だった。
それは、毎月末に帰って来る夫も公認の事で、若い新妻に浮気される事を怖れているのか、単身赴任の夫はいつも毎月末の帰宅時には新しいアダルトグッズを京子のおみやげに持ち帰って来ていた。

京子は枕元に置いてあったディルドを摘まみ上げ、それをジッと見つめた。
そのディルドはやっぱり夫がお土産として買って来たモノで、色も形も、そして感触さえも本物そっくりなペニスのオモチャだった。
夫が買って来るペニスのオモチャには全て共通点があった。それは、そのオモチャが全て小さいという事だ。夫は自分のペニスのサイズによく似た小さなサイズのディルドやバイブしか買って来ないのである。

そんな小さなディルドを怪しく擦りながら、京子は天井をボンヤリと見つめたまま「どうしてかしら・・・」と溜息混じりにふと思った。
そう、いつもなら自慰の時に浮かんで来る夫の顔がその晩はなかなか浮かんで来ないのだ。
夫に正常位で抱きしめられながらキスをされるシーンを思い出そうとしても、妄想の中の夫の顔は曖昧にぼやけていて、それはまるで別人のようなのだ。

目覚まし時計の針の音がカチカチと響くだけの静まり返った寝室で、1人モヤモヤとしていた京子はベッドを飛び出すと鏡台の上に置いてあった結婚式の写真を手にし、それをベッドに持ち込んだ。
カーテンから洩れる月明かりに白いタキシードを着た夫が照らし出される。
「・・・マーくん・・・」
京子は夫の名を囁きながらTシャツに浮かび上がる乳首を人差し指でコロコロと転がした。
ゾクゾクっとした快感を背筋に受けながら静かに目を瞑ると、タキシード姿の夫の笑顔が焼き付いていた。

妄想の中で、全裸の夫が大きく股を開く京子に覆い被さって来た。荒々しく胸を鷲掴みにし、飛び出す乳首をレロレロレロと激しく舐める夫のいつもの癖が脳裏に浮かび上がって来た。
妄想の夫は乳首を激しく舐めながら、いつものように京子の細い腕を自分の股間に持って行く。
京子は乳首を指で転がしながら夫に乳首を愛撫されているのを想像し、そして夫のサイズとよく似たディルドを握った。
いつも夫にするように、ディルドを握る京子の手がゆっくりと上下する。
「京子・・・気持ちイイよ・・・」
夫の声が頭の中でリアルに響いた。
「あぁぁ・・・マーくん・・・・」
と、京子がキスを迫ろうとすると、今度は夫の顔ははっきりと浮かび上がっていた。
妄想の中で夫と激しく舌を絡ませながらディルドの先を乳首に押し当てた。そしてTシャツを捲り上げ、勃起する乳首を月明かりに照らしながら指で転がし、その小さなディルドをゆっくりと口に含んだ。
フェラチオをされている時に見せる夫の恍惚とした表情がリアルに浮かんで来た。
京子の舌は、夫が悦ぶ亀頭の裏をチロチロと刺激し、そしてそのまま口の中でゆっくりとペニスが上下に動き始めた。

京子は大袈裟に「う・・・うぅん・・・」と声を出した。
京子にはまだ子供はいない。このマンションには京子一人しかいないため、どれだけ大きな声を出そうとも平気なのだ。

京子は口の中でディルドをピストンさせながらベッドの上で乱れた。
乳首を転がしていた指をゆっくりと下腹部へ下ろし、ソッとパンティーの中へ指を滑らせた。

が、京子の性器はカラカラに乾いたままだった。
いつもならこの時点で性器からはいやらしい汁が溢れ出し、ディルドをスムーズに受け入れるはずなのだが、しかし今夜は違った。
クリトリスを弄ろうが何をしようが一向に濡れる気配がないのである。

(いったい・・・どうしたのかしら・・・)
京子はしゃぶっていたディルドを口から抜くと、また大きな溜息を付いた。

性欲はある。いつもよりもムラムラ感は湧き出ているのに、しかしイマイチその気になれない。
京子はモヤモヤとした気分のままTシャツを元に戻すと、そのままベッドの中に潜り込んだのだった。


               3


それから1週間。京子は毎晩のようにベッドの中でアソコを弄っていた。
しかし、一向に潤う事はなく、たとえ無理してディルドをアソコに入れても、ただ痛いだけで快感は得られなかった。

唯一のストレス発散が上手く出来ず、モヤモヤとした日々が続いていたそんなある日、学生時代の友人と会っていた京子は、その帰りの電車でまたあの男と一緒になった。

PM8時。こんな時間に電車を乗る事がなかった京子は、こんな時間にもこの男は電車に乗っていたのかとちょっと驚いた。

男は以前とまったく同じ身なりで、両肩にフケを輝かしながら携帯を弄っていた。
男は京子の斜め前の座席に座り、だらしなく大きなアクビなどしている。

京子はそんな男をチラチラと眺めながら、男のくたびれた革靴を見ては靴下が臭そうだと不快に目を反らした。
(もしかしたらこの人、ホームレスなのかも知れないわ・・・)
そんな事を考えながら、京子はふと電車の中吊り広告に目をやった。

『若年夫婦のセックスレスが急増!』

そんな記事のタイトルをボンヤリと眺めながら、結婚二年目にして、月に一度しか帰って来ない夫との月に1回しかないセックスも、それはある意味セックスレスだと京子は思った。


「そんなの浮気しちゃえばいいのよ」
つい1時間ほど前に会っていた学生時代の友人はあっけらかんとそう言った。
「でも、浮気って言っても相手がいないよぅ・・・」
京子が冗談っぽく笑いながらそう答えると、友人は自慢げに「私はここで探してるよ」と言いながら携帯電話をパカッと開いた。
「・・・これって、もしかして出会い系サイト?・・・・」
京子が恐る恐るそう聞くと、友人はニヤニヤ笑いながら「そう」と平然と答えた。

この友人もまだ結婚3年目のいわゆる新婚だ。

「そんな事して、旦那さん、大丈夫?」
京子は目を丸くして聞いた。
「平気平気。あいつも風俗とかキャバクラとかで遊んでるし。バレたって何にも言えないでしょ・・・」
友人は悪びれる事もなくそう答えると、「それに、出会い系の男だったら後腐れないし、お小遣いなんかもくれる事もあるしね、何かと楽だよ」とクスッと笑った。

同級生でしかも同じ時期に結婚した友人は、旦那だけでなく出会い系で男を漁り、セックスを楽しんでいる。
それに比べて私は、月に一回の旦那のセックスと毎晩のオナニー。しかも、最近ではそのオナニーさえも上手く出来ていない・・・・
そう思う京子は、自分だけが何かとても損をしているような気がした。
しかし、だからといって出会い系で男を見つけるなんて度胸は京子にはない。それに、一生懸命働いている夫を裏切り、他の男と遊ぶなんて京子には考えられなかった。

そんな事を考えていると、またモヤモヤ感が湧いて来た。
出会い系で知り合った男とセックスをするなど現実では考えられない事だったが、しかし心の底には少しばかりそんな願望が潜んでいるようだ。
(夫以外の男と・・・・・)
リアルにそれを想像すると、溜っているモヤモヤ感が急激に活発になるのだ。

突然湧き出たモヤモヤ感に、もしかしたら今夜はオナニーが成功するかも、っとちょっと嬉しくなった京子は、急に深夜のベッドが恋しくなり、ワクワクしながら中吊り広告から視線を落とした。

と、その時、ふと正面の座席を見ると、いつの間にそこに来たのか「あの男」が京子の真正面にドカッと座っていた。

(えっ?)と京子が驚くと、男は携帯を弄るフリをしながらジッと京子の足を見つめている。

京子はとたんに背筋をゾッとさせたのだった。


               4


男はかなり酔っぱらっているようだった。
真っ赤な顔を火照らせ、まるでマラソンを終えた後のように苦しそうに息を吐きながら気怠そうな視線を向けて来る。

怖くなった京子は席を移動しようかと考えたが、しかし、今ここであからさまに立ち上がる勇気はない。
ただ、電車内には他にも大勢の乗客がいる。だからたとえ酔っていようともおもむろに痴漢して来るような事はないだろうと自分を落ち着かせ、そのまま知らん顔して寝たフリをすることにした。

夜の車内は窓の外が暗い分、妙に蛍光灯が輝いてみえた。昼に比べると圧倒的にサラリーマンが多く、どの顔も仕事に疲れ果てた表情ばかりだ。
ジッと目を瞑っていた京子は、電車のリズミカルな音と、誰かのヘッドホンから洩れる微かなシャカシャカ音に耳を澄ましていた。

しばらく寝たフリをしていた京子は、ついつい本当に寝てしまいそうになり、流れて行く踏切の音で慌てて目を開けた。
正面の男は露骨に体を屈めながら京子のスカートの中を覗いていた。
怖くなった京子は、再び寝たフリをしながら、閉じている両太ももを更におもいきり閉じた。

(ヤダ・・・どうしよう・・・)
京子は言いようのない恐怖を感じながらも、しかし何かゾクゾクとした複雑な気分が芽生え始めていた。

それは、深夜1人でベッドに入る前のゾクゾク感によく似ていた。
何の変化もない気怠い一日が終わった深夜の寝室。クローゼットから取り出したポーチのジッパーを開ける音が静まり返った寝室に響き渡る。ポーチの中で乱雑に転がる無数の玩具。今夜はどれで自分を愛そうかとポーチの中を物色している時のあのゾクゾク感。そんな淫らなゾクゾク感が、今、目の前でスカートの中を覗き込もうとしている1人の不潔な酔っぱらいによって導かれた。

京子は寝たフリをしながら思う。
この男は私のスカートの中を覗き込んでいったい何を考えているのかしら。下着の色を想像したり、下着の形を想像したり・・・その下着を脱がせて下着の中がどうなっているのかまで想像しているのかしら・・・もしかしたら、私のソコの匂いを嗅いだり、指で触ったり、舌で舐めたり、そしてアレを差し込んだりする事まで想像しているのかも知れない・・・・

京子はそんな事を思いながら、この男が部屋に帰ってから、スカートの中を思い出しながらオナニーする姿を想像した。

京子にもそんな経験はよくある。いつもマンションに来てくれる宅急便の青年。荷物を届けた彼が配達書を書いているそのわずかな瞬間に、こっそり青年の股間をチラ見しては、いったいどんなペニスをしているのだろうとふと想像する事がある。そしてその晩のオナニーには決まって宅急便の青年が現れた。夫に対する罪悪感はありながらも、しかし空想の中では宅急便の青年のペニスを口に含み、そして玄関で荒々しく背後から入れられた。

そんな空想を経験したことのある京子には、目の前でスカートの中を覗き込もうとしている男の気持ちがなんとなくわかるような気がした。

首を項垂れながら、片方の目を薄らと開け、目の前の男を見る。
男は座席を深く座りながら、必死になって京子のミニスカートの中を覗こうとしている。
男の右隣に座る中年サラリーマンは天井を見上げては口を半開きにイビキをかいでいた。そして男の左隣に座る中年の婦人は手の平に小さな文庫本を隠しながら黙々と読書している。

この電車のこの小さな空間は、今、自分とこの男だけだと思うと、京子のゾクゾク感はとたんに激しくなってきた。
この男が、今夜、いったいどんな事を想像してペニスからヌルヌルの精液を噴き出すのか・・・・
そう思った瞬間、下半身にドキッという衝撃を受けた京子は、薄目でジッと男を見つめながら、ほんの少しだけ股を弛めた。

閉じられていた両太ももがミシッと開かれた瞬間、男の目が「ギョ!」と光った。
男は白々しく周りを確認すると、更に座席に深く座り直し、京子の両膝に目線を近づけようとしていた。

そんな男の仕草を、薄目を開けながらコッソリ観察していた京子は、まるで男に愛撫されているかのように感じてしまった。
(確か・・・今日はレースのショーツだったわ・・・もしかしたら毛が透けて見えてるかも・・・)
そんな事を思えば思うほど、恥ずかしさの中に異常な性的興奮が芽生えた。

そして京子は一刻も早く寝室のベッドの中に潜り込んで、いやらしく潤っているアソコに触れたいと思った。こんな感覚は久しぶりだと、妙にワクワクしたのだ。

電車の窓に見慣れた風景が映し出され、電車は速度をだんだんと弛めて行った。
いつもならこの時点で入口に立つ京子だったが、今日は金縛りに遭ったかのように体がすぐには動いてくれなかった。
キキキーッ・・・というブレーキの音が車内に響いた。
ガタンという音を立て電車が完全に止まると、プシュー・・・と入口のドアが開いた。

その音が号令かのようにスクッと立ち上がった京子は、静かに男の前を横切った。
すれ違い様にいつものようにチラッと男を見る。
男は座席に深く座ったまま、真っ赤に充血させた目を異様にギラギラさせながら京子の顔をジッと見ていたのだった。


               5


改札口を抜けた京子は、もう一度後ろを振り返った。もしかしたらあの男が後を追って来るかもしれないという恐怖に駆られていたのだ。

男の姿はどこにも見当たらなかった。
安心した京子は、そのまま石タイルの床をカツコツと音立てながら駅の出口へと進んだ。
しかし、歩きながら下半身に違和感を感じる。ミニスカートの中で股が擦れる度に股間が冷たいのだ。

このまま自宅マンションまでの約20分の道のりを歩くのに気が引けた京子は、そのまま駅の公衆便所へと入った。

どんよりと湿った空気の駅の公衆便所には、洗面所の水を出しっぱなしにしながら真っ赤な口紅を塗っている老婆がいた。
水浸しの床タイルを恐る恐る進み、一番奥の個室へと入る。
ガタン!という大袈裟な音を響かせて鍵を締めると、とたんに京子の体から力が抜けた。

今までにこんな破廉恥な事をした事が一度もなかった京子は、激しい恐怖と性的興奮の中に夫に対する罪悪感が混じり、複雑な気分だった。
京子は溜息をつきながら、以前、夫から夜の公園でカーセックスを求められた時の事を思い出した。
人が来るから嫌だと拒否する京子に、「人が来たなら見せてやればいいじゃないか」と強引に迫って来た夫を、京子は激しく責めた。「他人に見せるなんて、あなたは私の事を愛してないの?それとも変態?」・・・
今、自分自身が他人に見られながら性的興奮を覚えていた京子は、その時のしょんぼりと項垂れた夫を思い出し、なにかとっても酷いことを言ったような気がした。

個室の外から、カーッ・・・ぺっ!という痰を吐き捨てる下品な音が聞こえて来た。きっとさっきの老婆であろう。あのお婆ちゃんは頭がおかしいのかしら、などと思いながら、京子は股間で冷たくなっているパンティーをそっと開いて中を覗き込んでみた。

クロッチを見た京子は、一瞬、オシッコを洩らしてしまったのかと目を疑った。
恐る恐る人差し指でクロッチを触ってみる。それはオシッコとは違うヌルヌルとした感触だった。

夫とのベッドでもこんなに濡れた事ないのに・・・・・

京子は再びゾクゾク感に包まれた。
そのままソッと膣に指を伸ばしてみた。まるで熱でもあるかのようにそこは異様に熱かった。
ヌルヌルとした感触に誘われるままに、指がどんどんと穴の中へと進んで行く。
「うっ!」
無意識に腰がカクン!と折れた。
今まで感じた事のない、もの凄い快感だ。

京子はこのままここでオナニーをしてしまいたい気に駆られたが、しかし、ベッド以外でオナニーをした事のない京子にとって、個室の扉1枚を挟んだ向こう側に、見知らぬ他人がいるというシチュエーションは冒険過ぎる冒険だった。

(帰ってゆっくり・・・ね・・・)
京子は自分の心にそう投げ掛けると、再び激しく濡れるクロッチに目をやった。
このままこのびしょ濡れのパンティーを履いて20分の道のりを歩くなんて気持ちが悪くてできなかったのだ。
オリモノシートかナプキンでもあれば良かったのだが、あいにくそれらは持ち合わせていない。
仕方なく、京子はその濡れたパンティーをスルスルッと下ろした。
どうせ、人気のない歩道を歩いて帰るだけだもん、まさか私がノーパンだなんて誰も思うわけがないわ・・・・
京子はそう安易に考えながら、この後に激しく後悔するなど夢にも思わず、細く品やかな足首から丸まったパンティーを抜き取ったのだった。


               6


駅裏へと続く地下道の階段を下りると、途方もなく長い地下道のはるか彼方に「西口」という看板が光っていた。
いつも昼間に通るその地下道は、夜になるとガラリと雰囲気を変えていた。
昼間は行き交う人で溢れている地下道も、夜はまったく寂しげで、輝く蛍光灯だけがズラリと並んだその光景はまるで宇宙船のようだった。

カツコツ・・・とヒールを響かせながら、静まり返った地下道を1人進む京子。
しばらく進むと、地下道の真ん中辺りに何かが転がっているのが見えた。京子はあそこに転がっているのは恐らく人だろうと思いながら、ヤだな・・・と顔を歪めた。

ミニスカートにノーパン。最も無防備な格好をしている京子は、進むにつれ近付くその物体に何度も目を凝らした。
少し手前に来た時、その物体がはっきりと見て取れた。それはやっぱり人だった。路上で体を丸めては寝そべる、作業服姿のホームレスだった。

素早く通り過ぎようと足を速めた時、京子のヒールの音に気付いたのか、いきなりホームレスは体を寝そべらせたままムクッと顔だけ上げた。

髭を乱暴に蓄えた薄汚い顔が京子に向いた。
無意識に京子の足が止まった。
ホームレスはしばらくジッと京子を見つめていたが、そのうち持ち上げていた首が疲れたのか、再びグタッと地面に頭を下ろすと、「ふあわー・・・・」と、エコーを響かせた大きなアクビをひとつした。

凄く怖かった。
延々と地下道を走り抜けるそのエコーの効いた大きなアクビが、まるで危険を知らせるサイレンのように聞こえた。

(どうしよう・・・)
京子はゆっくりと足を進めながら後を振り向いた。
人の姿はなく、ただズラリと並ぶ蛍光灯だけが冷たく輝いていた。

今さら戻るわけにも行かない。
そう思った京子は、足早に通り過ぎてしまおうと速度を速めた。カツコツカツコツ・・・という、急ぎ足の足音が地下道に響き渡った。

ホームレスに近付くにつれ、生ゴミのような饐えた匂いが漂って来た。京子はできるだけホームレスを避けようと、ギリギリまで右端へと寄る。薄汚れた作業服にだんだんと近付く。ホームレスは地下道の天井を見上げたまま髭だらけの口元をクチャクチャと動かしていた。

息を止めてホームレスを横切った。怖くてホームレスを見る事は出来なかったが、寝そべるホームレスに何も変わった動きは感じられなかった。

寝そべるホームレスを無事に通り越した京子は、このまま何も起こりませんように、と心で何度も唱えながら足の速度をそのまま早めた。まだ出口まではかなりの距離がある。走るにはまだ早すぎた。

と、その時、背後に嫌な「気」を感じた。
「はっ!」と京子が振り向くと、なんとホームレスが真後ろにいた。しかもホームレスは、歩きながら体を前に屈め、京子のミニスカートの中を覗いているのである。

「きやっ!」
条件反射でミニスカートの尻を押さえた京子は、後から付いて来るホームレスに向き直った。

「へへへへ・・・あんた、ノーパンやなぁ・・・」
関西弁のホームレスはガタガタに抜けた前歯を曝け出しながら、不潔な唇をニヤリと笑わせた。

京子は恐怖のあまりその場にヘタヘタと腰を落としそうになった。後ろ向きのまま引き下がる京子に向かって、「ほれ、ワシも、ほれ」と笑いながらホームレスが泥で汚れた作業ズボンのジッパーを下ろし始めた。
「えっ!」
絶句する京子の目の前に、天井に向かって聳え立つ真っ黒な塊を曝け出したホームレスは、異様に目を輝かせながら「げへへへへへへ」と嬉しそうに笑った。

京子はホームレスにクルッと背を向けると、見境もなく走り出した。地下道に響くヒールの音に混じり、後から「ほれ!ワシもノーパンや!アンタと一緒や!」というホームレスの声が地下道に響き渡っていた。


地下道の階段を駆け上がると、一瞬にして生暖かい夜風が京子を包み込んだ。走り去る車の音と商店街のネオンが妙に安心感を与えてくれた。

ホームレスが追って来ない事を確認し、とりあえず安心した京子は、一刻も早く下着を履きたかった。たとえ下着が濡れていようとノーパンという不安に脅えるよりはマシだと思ったのだ。
歩道を歩きながらどこか下着を履けるような場所はないかとキョロキョロと探す。コンビニのトイレなら一番安心なのだが、しかし一番近いコンビニは駅まで行かなくてはならず、またあのホームレスの地下道を通らなければならないのだ。

京子は歩調を弛めながら、静まり返ったビルとビルの隙間を覗いたりした。しかし、安心して下着を履けるような場所は見当たらなかった。

京子は不安のまま歩道を進みながら、ふとあのホームレスの真っ黒な性器を思い出した。
それは一瞬見ただけだが、異常に大きかったような気がする。少なくとも夫のペニスの2倍はあった。
あんなモノを入れられたらいったいどんな感じがするんだろう・・・・・
夫のサイズに馴れてしまっている京子には想像も付かなかった。

ボンヤリと明かりが灯る公衆電話を通り過ぎながら、京子は夫の前に付き合っていた和夫のペニスを思い出した。
大学時代に付き合っていた山岡和夫は、体は小さな男だったがペニスは隆々と逞しく、亀頭などは夫の「紀州梅」のようなお粗末なモノとは違い、まるでピンポン玉のようにはち切れんばかりの元気の良い亀頭だった。

和夫に会いたいなぁ・・・・
京子はふと和夫が恋しくなった。ただしそれは和夫自身に会いたいのではなく和夫のペニスが欲しいという意味だ。

和夫に電話してみようかしら・・・・
そんな誘惑が京子の胸をゾクゾクさせた。和夫ならば今すぐにでも会いに来てくれるはずだ。
このまま自宅に帰ってオナニーで欲求を満たすのはあまりにも淋しすぎる。

和夫を呼び出してそのままラブホテルへ・・・1回くらいの浮気ならバレないわよ・・・・

和夫の獣のような激しい腰の動きを思い出すと、再びミニスカートの中の股間がジンジンと熱くなって来た。夫の事を思うと心が痛かったが、しかし今の京子にはこの状態で我慢しろという方が耐えられなかった。

ゆっくりと歩きながら、バックの中から携帯電話を取り出す。
携帯をパカッと開きながらも、和夫の乱暴にクンニする姿が目の前にチラホラと浮かぶ。
(おもいっきり犯されたい・・・和夫・・・乱暴に犯して・・・・)
そう思いながら携帯の電話帳を開いた。和夫の名前は「和美」で登録しておいたはずだ。

街灯の影になっている薄暗いビルの壁に凭れかかった。携帯の「和美」と書かれた番号にプッシュするかどうしようか、京子は悩んでいた。
夫を裏切る、といった重い感情は今の京子にはなかった。日課のオナニーが上手くいかず、そんな欲求不満が爆発しそうな時に、電車でスカートの中を覗かれホームレスに性器を見せつけられた・・・そんなモヤモヤとした気持ちを、ただただ今すぐ癒して欲しいだけなのだ。

京子は頭の隅にいた夫を振り払った。和夫の逞しいペニスで獣のように犯されたい・・・そんな欲望が京子の頭を支配した。
京子は躊躇いながらも「和美」の番号を押した。「プップップップッ・・・・」という受話器から聞こえる音を聞きながら、京子は妄想の中で和夫の逞しいペニスをズブズブと突き刺されていたのだった。


               7


生暖かい都会の夜風がビルの隙間を滑り抜けて行った。そんな突風に髪を靡かせながら、京子はビルの壁に凭れたまま携帯を耳に押し当てていた。

『おかけになった電話番号は現在使われておりません・・・・・・』

京子は小さな溜息をつくと、パタンと携帯を閉じた。

ふと、太ももの辺りに不快感を感じた。辺りを見回し、誰も人がいない事を確認すると、京子はミニスカートの中へソッと手を差し伸べてみた。
股間から太ももの内側にかけてヌルヌルとした愛液が垂れていた。そのヌルヌルとした感触を指に感じると激しい興奮が京子の胸を襲った。

もう誰でもいいと思った。誰でもいいから今すぐにこのビルの隙間で激しく犯して欲しいと本気で思った。
もう一度、あのホームレスの所に戻ってみようかしら・・・・
そんな気はさらさらないのに、そんな事を思うと、更に股間から愛液が垂れ落ちて来た。

男が欲しいというよりも、このままマンションに帰ってありきたりなオナニーをするのが嫌なだけなのだ。

京子は再び歩き出した。ミニスカートの中で擦れる太ももからは、クチャ、クチャ、という音が聞こえて来るような気がした。
(なんか・・・このまま帰るのはつまんないな・・・・)
そう思いながらトボトボと歩くその先に、パッと明かりが灯る賑やかな場所が目に飛び込んで来た。

まるで街灯に吸い寄せられる蛾のように、その賑やかな明かりに釣られた京子は足を速めた。

明かりに照らされた卑猥なポスターやタイトルが次々に京子の目に飛び込んで来た。
(こんな所に映画館があったんだ・・・・・)
京子は映画館の前で立ち止まり、その卑猥な看板を見上げた。
昼間はよく通る道だったが、こんな映画館がこんな所にあったなんてまったく気付かなかった。

(なんか楽しそう・・・入ってみたい・・・)
その卑猥なタイトルを眺めながら京子は素直にそう思った。

(でも、女一人でこんな映画館に入ったら変に思われないかしら・・・・・)
そう思いながらさりげなく映画館の中を覗いてみた。窓口で中年のオバさんがスナック菓子を食べながらボンヤリとテレビを見ているのが見えた。

(女の人だわ・・・・・)
京子は少し安心した。しかし、映画を観ている人はきっと男の人ばかりだろうと思うと、やはりそこに入る勇気は出て来ない。

(どうしよう・・・・・)
手の平に汗を滲ませながら悩んでいると、映画館の中を長い髪の女の人が歩いているのが見えた。

(あっ!女の人もいるんだ!・・・・)
急に勇気が湧いて来た京子は、迷う事なく映画館に向かった。

『連日オールナイト』と書かれた看板をすり抜けながら、そこが変態の巣窟であるなど何も知らない無知な京子は、未知の世界へと吸い込まれて行ったのであった。

(つづく)

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