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たまごかけごはん6

2012/05/31 Thu 00:14

01たまご6



               30


1階の交通課は騒がしかった。数人の制服警官に囲まれながらも「あっちが一旦停止をしなかったんだよ!」と言い訳がましく叫ぶ親父は、どう見ても酔っぱらっていた。
交通課を横切り警察署を出ると、排気ガスで汚れた都会の空気がムアッと六助の体を包み込んだ。
22日ぶりのシャバだった。垢と水虫とセンズリのニオイで溢れるブタ箱よりは、この排気ガスのニオイの方が全然心地良かった。

22日前。
隣の爺さんの筆ペンを破壊したなどと言う超微罪で警察署に引っ張られた六助は、覚醒剤の尿検査を迫られては刑事とすったもんだはあったものの、結局、キャリア刑事の顔を立てるために尿検に応じ、しかし、元々シャブを買う金もなかった六助だったから当然の事ながら結果は陰性。六助は「ザマアミロ!」とばかりに刑事達に散々悪態を付いては、「俺様の小便見せてやったんだからカツ丼くらいおごれやコラぁ!」と大威張りで刑事達にカツ丼を強く要求していた。
しかし、六助がそんな悪態を付いている間に密かに進められていた家宅捜査で、六助のマンションに置いてあったノートパソコンが怪しいと、ある新米刑事が目を付けた。その新米刑事はパソコンにはかなり詳しく、そのため、六助のような無職の貧乏親父がこんな最新式のノートパソコンを持っているのは不自然だと勘ぐったのだ。
その日、夕方近くまで、カツ丼を喰わしてくれるまで帰らねぇからな!と、強情を張りながら取調室に居座っていた六助だったが、結果、本当に帰れなくなってしまった。新米刑事がスピード捜査でノートパソコンの持ち主を割り出し、その持ち主から盗難の被害届を出ているのが発覚すると、なんともマヌケな六助はそのまま窃盗罪で逮捕されてしまったのだ。

結局、そのパソコンの持ち主(回転寿司店の元同僚)が、「こんなイカ臭いパソコンはもういりませんし、それにあんな変態とは関わり合いたくありませんから」という理由で被害届を取り下げた事により、六助は20日間の勾留だけで無事に釈放されたわけだが、しかし、マンションの保証人になっていた回転寿司店の社長からは、これを機会に縁を切りたいという申し出があり、今月一杯でマンションを立ち退かなければならなくなってしまったのだった。

六助は22日ぶりのシャバの空気を腹一杯に吸い込みながら、ふと直美の事を思い出した。
ブタ箱の中での22日間、寝ても覚めても直美の事ばかり考えていた六助は、狭いブタ箱の中で何度も何度も妄想の直美を犯していた。
直美に会いたい、直美のオマンコから溢れる汁を舐めたい、直美を背後から犯しおもいっきりあの丸い尻を引っ叩いてやりたい・・・そんな事ばかり妄想していた六助は、ブタ箱の同房たちの目を盗んでは、臭いブタ箱の毛布に包まりながら深い溜息と濃厚な射精を繰り返していたのだった。

マンションに着いた六助は、隣の老人への仕返しは後にして、とりあえず直美の現在の状況を確かめることが先だと考えた。せっかくここまで調教したM女である。そう簡単には手放せない。
とはいっても、唯一、直美の状況を知るツールであったパソコンはもうここにはない。
かといってネットカフェへ行く金もなく、携帯も止められてしまっている六助には、直美のブログ「たまごかけごはん」を見ることは不可能だった。

22日間のストレスが今になって沸々と湧いて来た。直美との唯一の連絡方法を無くし、絶望に包まれた六助は、もうどうにでもなれとヤケクソになり、隣の老人を刺身包丁でズタズタに切り裂く事に決めた。
「復讐するは我にあり・・・」
そう呟きながら、唯一の財産である刺身包丁を力強く手にした六助は、しかし・・・とまた考える。
(爺さんを殺しちまったらもう直美には会えなくなっちまうな・・・・)
六助は蛍光灯の明かりを刺身包丁に反射させながら、もう一度直美のあの愛くるしい肉体を思い出した。
(爺さんを殺す前に、直美を犯すか・・・・・そうだよな、どっちみち刑務所なんだし、それだったら直美を死ぬ程犯してからゆっくりと爺さん殺せばいいんだよな、うん)
急に六助の心が軽くなった。
(それに、直美はどうせヒキコモリなんだし、1週間くらい部屋に監禁しててもバレねぇよ、うん。その間、縛ったりローソク垂らしたり浣腸したり浣腸してもらったりとたっぷりと楽しんでやっからよ・・・)
六助はキキキキキッ!と狂った猿のような笑い声をあげると、床に足をバタバタと叩き付けながら、嬉しさのあまり部屋中をのたうち回った。

その日の夕方、新聞紙に包んだ脅迫用の刺身包丁を腰に忍ばせた六助は、ベランダの非常用はしごの蓋を静かに開いた。六助が練った作戦では、侵入は深夜に決行する予定だったが、しかし、直美を監禁レイプする事を悶々と想像していると、猿のようにセンズリばかりやらかしてしまい、もうどーにも我慢ができなくなってしまったのだ。

ステンレス製の非常用はしごの蓋は思ったよりも軽かった。蓋を開けると、そこには“縄ばしご”がロールケーキのように丸められていた。はしごを取り出し、そのソコになっているもう1枚の蓋を開けた。
蓋が抜けるガボッ!という音と共に、ステンレスの蓋がグワワワ~ンとその身を震わせながら、まるで民族楽器のような音を出した。
ポッカリと穴の空いたベランダの床。その穴からは、直美の物らしきキティーちゃんの健康サンダルが片方だけ転がっているのが見えた。
縄ばしごを使おうかどうしようかと悩んだが、しかし、大した高さも無いのにわざわざ縄ばしごを使うのもマヌケな気がした六助は、そのまま穴に足を落とし、ベランダの床にオラウータンのようにぶら下がりながら、一気に1階のベランダへと飛び降りた。
ドスン!という鈍い音が響いた。当然、直美は気付くだろうが、しかしもうそんな事どうでもいい、直美に気付かれたら刺身包丁をチラつかせて脅すだけだ。
しかし、そんな鈍い音がベランダで響いたにもかかわらず、直美の部屋からは何の反応もなかった。
部屋の電気は消えている。
(あのヤロウ、いねぇのか?・・・)
尻の埃をパタパタと叩きながら立ち上がった六助は、カーテンの隙間から中を覗こうと窓に顔を押し当てると、ふいに手をあてたその窓がいきなりガラガラっと開いた。
一瞬身構える六助。
しかし、部屋の中はシーンと静まり返り、人のいる気配がまったく感じられない。
(やっぱ、いねぇのか?・・・)
六助は恐る恐るカーテンを開き、中を覗いてみた。

薄暗い部屋からプ~ンと女の匂いが漂って来た。部屋は静まり返り、ベッドの脇に置いてある小さな時計からカチカチと針が進む音だけが不気味に響いている。
カーテンに顔を押し込み、部屋の左右上下とくまなく見回す。そこに人間が居た温もりは感じられなかった。

そのまま部屋の中へと転がり込んだ六助は、部屋に漂う猛烈な女の香りに包まれながら、静かにベランダの窓を閉めた。
カーテンの隙間もきっちりと閉めると、そのままズカズカと奥へと進み、一応、トイレと浴室を調べた。
やはり直美は留守だった。
(1日中部屋に閉じ篭りっぱなしのヒキコモリ女が留守だなんて矛盾してるじゃねぇか!)
六助はそうイライラしながらも、とりあえず直美のベッドにゴロリと横になる。
直美の枕からリンスの匂いがプンプンと漂って来た。その枕に顔を埋めた六助は、このまま全裸になってベッドの中に潜り込みたい心境に駆られた。

そう思った瞬間、何かに取り憑かれたかのようにムクリとベッドを起き上がった六助は、何かを探しながら部屋中をキョロキョロと見回し歩き回る。
(おっ母さんに渡す洗濯物はどこにあんだ・・・)
六助は、汚れた下着の入った例のボストンバッグを探していた。
しかし部屋中どこを探してもボストンバッグは見当たらない。という事は、今、あのボストンバッグは母親の手元にあるのだろうか・・・そんな事を考えながら何げなく浴室のドアを開けると、洗面所の横には真新しい洗濯機が置いてあった。

(ん?・・・これはいったいどーいうことだ?・・・あいつは洗濯もできねぇヒキコモリ女だったんじゃねぇのか?・・・)

六助はそう思いながら不思議そうに洗濯機の蓋を開けると、ドラムの中にはピンク色したパンティーがさりげなく転がっていたのであった。



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(なーんか変だぞ・・・・)
六助はそう思いながら、洗濯機の中で転がっていた直美の使用済みパンティーをクンクンと嗅ぎながら、もう一度部屋の中を見回した。

まず、何よりも解せないと思ったのは、この女の匂いをムンムンと撒き散らしている大量の化粧品だ。

(外出できないヒキコモリのくせに、どーしてこんなに化粧品が必要なんだよ?)

六助は鏡台の前にズラリと並ぶマニキュアの瓶や香水の箱などを手に取りながら不審そうに眺める。
そしてそのままベッドの横のクローゼットへ行くと、パンツをクンクンと嗅いだままガラガラっとその扉を開けた。

派手な衣類が所狭しとぶら下がっていた。
今までに何度も直美を目撃していた六助は、直美がいつも同じジャージを着ている事を知っている。直美はグレーと黒のジャージの2枚しか持っていないのではないかとさえ思った程だ。だから、クローゼットにぶら下がるこの派手な衣類は明らかに変なのだ。

それに・・・と、六助は鼻に当てていたパンツを見つめた。
(あいつ、こんな派手なパンツ、持っていなかったよな・・・)
直美の下着にはとても詳しい六助は、初めてみるそのパンツの柄を見つめながらも、そういえばクロッチの匂いもいつもと違うぞ!と、その変わり果てた匂いにも気付いた。

今までの直美のクロッチからは、汗と小便が入り交じった純粋なパルメザンチーズのニオイがムンムンと漂っていたのに、しかし、このクロッチから漂う臭いのそのほとんどが香水の香りで、その香水と交じるようにして、下品な「イカ」の香りが全体的に漂っている。今まで、「イカ臭」などという下品なヤリマン臭(中出し系)は直美のクロッチからは感じられなかったのだ。しかも、オリモノも違う。以前はあんなにオリモノが少なかったはずなのに、このクロッチにはまるで幼稚園児の鼻水のようにベッチャリと濃厚なオリモノが付着しているのである。

(もしかして・・・あいつ、俺がブタ箱にいる間に引っ越したか?って事は、ここは違う人の部屋か?)

そう思った瞬間、六助はゾゾゾっと背筋を凍らせた。もしこの部屋の住人が代わっていたとしたら、そいつが今ここに帰って来たら大変な事になる。まして、そいつが彼氏と一緒に帰って来たなんてことになったら、こりゃあ一大事だ!

怖くなった六助が、とりあえずこの部屋から脱出しようと思ったその時、ふと見慣れた日記帳がパソコンのデスクの前に置いてあるのが見えた。
そう、ヒキコモリの娘と母親の例の交換日記だ。
それを見て、やはりこの部屋は直美の部屋だという事を知り、少し冷静さを取り戻した六助は、すかさずその日記帳を開いて見た。

日記には、見覚えのある直美の字がびっしりと書き連ねてあった。
パラパラと日記を捲って行くと、ある日を境に母親と交互に書かれていた交換日記から母親が消えた。
そこからは直美1人の日記帳になっているのだ。
変だぞ・・・と思いながら、母親が消えた日のページを読んでみた。

『○月○日(金)晴れ。今日、久々に実家に帰った。私は生まれ変わったんだよって事をお父さんとお母さんに報告したくて帰ったんだけど・・・・うまく説明できなかった(悲)。でも、私の元気な顔を見てお父さんとお母さんはとっても喜んでくれた。お母さんは泣いちゃってお父さんは喜んでお酒なんか飲んだりして、私にも「飲めっ」てお酒を勧めて来た。変なお父さん(笑)でも、みんな喜んでくれたからとっても嬉しかった。それもこれもみんな毒蛇さんのおかげ。』

六助はボンヤリと天井を見上げた。
(俺のおかげ?・・・俺がキミに何をした?)

そう思いながら、再び六助はパラパラっと日記を捲る。

『○月○日(月)雨のち曇り。今日も毒蛇さんの命令で電車に乗った。朝の電車に乗れと言われてたのに、寝坊してお昼の電車に乗ってしまった(涙)でも毒蛇さんは怒らなかった。いつものように「いいよ」って優しく言ってくれて、エッチもいっぱいしてくれた。その日のエッチはいつものホテルが満室だったから毒蛇さんの車の中で。。。。』

六助はもう一度ボンヤリと天井を見た。
(指令?電車?いつものホテル?・・・俺、車なんて持ってねぇゾ・・・)

六助はその日記の日にちをもう一度確認した。
そして、その日の自分は、ブタ箱の中である事に気付く。
(どう言う事だ?・・・この女、ヒキコモリから妄想狂へ転移したか?)
少しパニック状態になりながらも六助は更に別のページを開いた。

『○月○日(水)晴れ。毒蛇さんの指令でいつもの電車に乗った。とっても乱暴なチカンさんに遭遇。電車の中で中出しされてしまった。。。。(悲)でも、その後、毒蛇さんが直美のアソコを綺麗に舐め舐めしてくれたから許す(笑)その日のエッチは直美のお部屋♪♪』

六助はパタン!と日記帳を閉じた。
(誰かが毒蛇の名を騙って直美を玩具にしてやがる・・・・)

六助は、まるで自分の玩具を横取りされた幼児のように、ケチな怒りに顔を真っ赤にさせながら天井を睨む。
(殺してやる・・・・その野郎、取っ捕まえてぶっ殺してやる!)
そう思いながら刺身包丁を手にした時、カツ、コツ、というハイヒールの音が廊下から聞こえて来た。
その足音は、明らかにこの部屋を目指して歩いて来る歩調だ。

六助は慌てた。近付いて来る足音を聞きながら、部屋中をウロウロと歩き回る。
ガチャッ!というドアの鍵を開ける音が玄関から聞こえて来た。その音はこの部屋の住人が帰って来た事以外の何ものでもなかった。

頭の中が真っ白になってしまった六助だったが、しかし無意識のうちにクローゼットの中へと潜り込んでいた。慌ててクローゼットの扉を中からスッと閉めると、それとほぼ同時くらいに部屋の電気がパッと点いたのだった。


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少しだけ開いたままのクローゼットの扉の隙間から、部屋の電気が光線のように差し込んで来た。
クローゼットの中の六助は、その光線のような光から避けるかのように少しだけ尻を動かし移動した。

「あっ!」
という若い女の声が部屋に響いた。
スーパーの袋がバサバサと音を立てる中、「ジャガイモ忘れちゃった!」と、再び女が叫んだ。

直美か?と、思いながら、扉の隙間にゆっくりと顔を顔を近付けようとした。
と、その時、予期せぬ声が同時に響いた。

「いいよ、ジャガイモなんかなくっても」

それは明らかに男の声だった。
六助は覗こうとしていた顔を「ひやっ!」と下げ、まるで眠たいハムスターのように、もぞもぞと衣類の中へと潜り込む。

「でも・・・ジャガイモのないカレーなんて変だよぅ・・・」
直美はクスッと笑いながらそう呟いた。
そして直美が「もう一度、スーパー行って来る」と言うと、男は「私も行くよ」と答えた。
「大丈夫。直美、1人で行けるから、毒蛇さんはここで待ってて」
直美がそう言うと、男は「わかった」と言いながら「ふふふふ」と意味ありげに笑ったのっだった。

(こいつが毒蛇のニセモノだな・・・・)
六助は衣類の中に埋もれながらも、出刃包丁を強く握り直した。

「じゃあいってくるね」と直美が部屋を出て行く。
去って行く直美の足音をクローゼットの中で聞きながら、やるなら今だ、と、六助は暗闇の中で目を光らせた。

(直美が帰って来る前に、このニセモノ野郎をメッタ刺しにして殺し・・・帰って来た直美を男の血の海の中で犯しまくる・・・こりゃあスゲェ興奮するぞ・・・)

部屋からピッピッピッ・・・という携帯のプッシュ音が聞こえて来た。丁度いい、ニセモノ野郎が携帯に気を取られてる隙に後頭部をひと突きにしてカニ味噌を噴き出させてやる・・・・と、六助は、扉の隙間をソッと覗いた。

その瞬間、見覚えのあるその男の顔を見た六助は、まるでフリーズを起こしたパソコンのように一瞬にして固まってしまった。
(なんで・・・コイツが・・・ココに・・・・)
息をするのも忘れ、六助は固まったままその男の顔をジッと見つめている。

直美のベッドにゴロリと寝転びながら電話をしていたのは、なんと、取調室で六助に尿検査を迫って来た、生活安全課のあのキャリア刑事であった。

六助は、これはいったいどー言う事だ!と、頭を真っ白にさせながら、ベッドの上の刑事をジッと見つめた。

「・・・あぁ、私だ。どうだ、勝田は何か自供したか?」
刑事は、アメリカ人のように異様に長い足を組みながら、ベッドに背を凭れさせては携帯にそう話し掛けた。

「・・・そうか・・・しかし、あの時の痴漢は勝田に間違い無いんだ。私がこの目でしっかりと目撃してるんだからな。だからもっと厳しく追及してみろ、あんなサラリーマン野郎はすぐに根をあげるから」
刑事はそう言うと、ふふふふふっとオカマのような笑いを間に挟んでは、更に話しを続ける。
「まぁ、被害者は私が押さえているんだし、相手の弁護士がどう騒ごうと示談には持ち込ませないから心配するな。徹底的に絞り上げてやってもかまわないから」
刑事はそう話しながら、黒いスーツの内ポケットからパイポを取り出し、それをガチガチと奥歯で噛み始めた。
その音は、六助が取調べ中に散々耳元で聞かされては悩ませ続けられた音と同じだった。

「ところで・・・」と、刑事はいきなり声を潜めた。
「明日のオトリ捜査なんだが、明日はいよいよ本丸の6号車を揺さぶってみようと思うんだが・・・キミはどう思う?」と、パイポをガリガリ言わせながら呟いた。

(オトリ捜査?・・・・)
ふいに屁がしたくなった六助は、ガスが漏れてしまわないようにと尻の位置を静かに移動させながら、その言葉に更に聞き耳を立てた。

「・・・うん、というのはだな、ここのオトリ女も埼京線の痴漢達からはそろそろ面が割れてる頃じゃないかと思うんだよな。だから、今、まだ使えるうちに、このオトリ女を本丸である6号車に潜伏させてだね、中島たち痴漢グループを一斉に検挙してやろうと思っているんだよ・・・」

『埼京線の中島グループ』といえば、痴漢の帝王と呼ばれる痴漢師範代・中島太郎が率いる痴漢プロ集団だ。その名を刑務所で何度か耳にした事がある六助は、静かにゴクリと唾を飲んだ。

「ウチのオトリ女は結構いいオンナだからね。中島達はこのオトリに必ず喰い付いて来ると私は確信を持っているんだよ、うん。どうだねキミの意見は」

そこまで聞いて、六助はやっと理解できた。
直美はこの刑事に利用されているのだ。痴漢捜査のオトリに使われて、下品な痴漢達から中出しまでもされながら、捜査に利用されているのだ・・・。
そんなキャリア刑事のやり方に反吐が出そうになった六助は、ドアの隙間からベッドに寝転がる刑事を睨んだ。
そして、この刑事の卑劣なやり方に怒りを感じると同時に、無性に直美が可哀想になって来た。
きっと直美は、この刑事に痴漢のオトリとして利用されている事を知らないはずだ。無知で馬鹿でヒキコモリの世間知らずな直美は、何も知らずにこの腐った刑事達の汚いオトリ捜査に、身を犠牲にしてまで利用させられているのだ。

「・・・よし、キミが賛成してくれるのなら、明日のオトリ捜査は本丸の6号車に着手する事にしよう。あぁ、大丈夫だ、オトリ女のほうは私に任せておきなさい、心配しなくても、今からオトリ女と2人で仲良く糞不味いカレーライスを食べる事になってるんだから」

刑事はそう言うと、ハハハハハハハハハっと笑いながら、「じゃあ明日7時に現地集合だ!」と軍隊調で告げては携帯をピッ!と切った。

刑事が電話を切ったその瞬間、六助は、『以前この刑事の顔をどこかで見たことがある』と思っていた謎が今やっと解けた。
そう、この刑事は、以前、六助が直美を満員電車に誘った時、六助が見ている目の前で直美に痴漢をしていた、あの時の紳士野郎なのだ。この刑事は、まさしく、あのやたらと紳士ぶっては直美に濃厚なキスをしていたクソ野郎なのである。

(この野郎・・・痴漢を取り締まる刑事のくせに痴漢までやりやがって・・・)
六助は額の血管がドクドクと脈を打つ程に怒りを感じていた。そしてクローゼットの中で息を殺しながらも、おもわず、スッスゥー・・・という可愛らしい空かしっ屁までも洩らしてしまったのであった。


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全速力でスーパーまで走って来た直美は、ハァハァと苦しそうに息を吐きながら、野菜売場でジャガイモの袋を摘まみ上げた。
袋の中には5つものジャガイモがゴロゴロとしていた。2人前のカレーを作るには多すぎる量だ。
ふと見ると、その横にバラ売りのジャガイモが山積みされていた。しかし直美は、そのジャガイモの袋を持ってレジへと進んだ。カレーを沢山作っておけば、もしかしたら明日も毒蛇さんが食べに来てくれるかもしれないと思ったからだ。

直美がこの男と初めて出会ったのは、毒蛇から2度目に指令を受けた埼京線の満員電車の中だったが、しかしその後に再び出会ったのは、毒蛇から3度目の指令を受けて出掛けた、あの整体へ行った日の次の日だった。

あの日、整体から帰って来た直美は、整体での出来事を一刻も早く毒蛇に報告したくて、1日中パソコンの前に座っては「たまごかけごはん」にやってくる毒蛇を今か今かと待ちわびていた。
しかし、いつもなら指令のあったその日に毒蛇からのコメントは入って来るはずなのに、その日は一向に毒蛇からのコメントが入って来ない。
そう、つまりこの日に六助は警察に逮捕されたわけであり、毒蛇を名乗る六助は「たまごかけごはん」にコメントを入れるのは不可能だったのだ。

結局、朝まで一睡もせず毒蛇からのコメントを待ち続けていた直美は、毒蛇からのコメントが来ない事に胸を痛めながらも、太陽の光が降り注ぐベッドにソッと横になった。
ちり紙交換車のスピーカー音を遠くに聞きながら、ウトウトと深い眠りに付こうとしていたその時、ふいに玄関のチャイムが鳴った。
ヒキコモリの家を尋ねて来る者などどうせ大した用件ではない。恐らく、いつものNHKの集金か宗教の勧誘だろうと、直美は寝返りを打ちながらそのまま無視していると、そのチャイムはしつこいくらいに鳴りっぱなしとなった。

その尋常ではないチャイムの鳴らし方に、急に怖くなった直美は、いったい誰なんだろうと確かめたくなり、ベッドを静かに抜け出すと足を忍ばせては玄関へと向かいコッソリとドアスコープを覗いてみた。
そこには見覚えのある顔が映っていた。
(この人、どこかで会った事があるわ・・・・)
と、直美が考えていると、その男はチャイムを押しながら、内ポケットの中から禁煙パイポをさりげなく取り出した。
そのパイポを見て、瞬間に(あっ!)と、直美が気付いた。その禁煙パイポには見覚えがある。そう、それはあの埼京線の満員電車で痴漢されていた時、目の前にいたあの紳士のおじさんがカリカリと音を立てながら喰わえていたパイポだ。そうだ、この人はあの時の電車の痴漢だ!あの紳士な痴漢のおじさんだ!
そう気付いた直美は、でも、どうしてあの痴漢が私の部屋に?と急に怖くなった。
あの時の痴漢が直美の部屋を知っているはずは無いのだ。

(もしかして・・・尾行されてたのかな・・・・でも、そんなに悪い人には見えないし・・・・)

アレコレと考えていた直美の頭に、ふとある予感がスっと通り過ぎた。

(この人・・・もしかして・・・毒蛇さん?)

直美はもう一度ドアスコープをマジマジと覗いてみた。
間違いない、この顔はあの時の紳士の痴漢だ。しかし、だからと言ってこの男が毒蛇だとは限らない。しかも、仮にこの男が毒蛇だったとしてもいったい直美の部屋に何の用でやって来たのだ。それに、ブログでしかやり取りをしていないというのに、彼はどうやって私の部屋を調べたのだ・・・。
そんな事を考えながらドアスコープをジッと覗く直美は、全身にジワリジワリと迫って来る恐怖に膝をガクガクと震わせたのであった。


一方、直美の部屋のチャイムをしつこいくらいに鳴らしまくっていた刑事は、この部屋の住人から聞き込みをしなければならなかった。
それは、昨日、この部屋の2階に住む長岡六助というキチガイ男を、窃盗容疑で逮捕したからである。

逮捕された長岡六助の部屋には、今回の事件となった「最新型パソコン」の他にも、

■携帯の充電器(長岡六助の携帯機種とは異なる物)

■プラズマテレビのリモコン(長岡六助の部屋のテレビはブラウン管)

■「税金と節税がわかる本」というタイトルの単行本(無職の長岡六助に税金は関係ない)

■アンジェラアキのCD(長岡六助はたぶんアンジェラアキを知らない)

■電熱ヒーター用の鍋(長岡六助の部屋はガスコンロを使用。しかもガスは止められている)

■HYSTERIC GLAMOURの新作デニム(全然サイズが合わない)

■国家公務員2種採用試験の願書(長岡六助は中卒で前科持ち)

といった、長岡六助には全く関係のない、又は必要のないとされる物が、部屋中のあちこちに溢れており、それらは長岡六助がどこからか盗んで来た物に違いなく、それらの持ち主を捜す為にも、刑事達はまずはこのマンションの住人を重点的に聞き込み捜査に取り組んでいたのであった。

もちろん、このキャリア刑事は、その部屋の住人が、先日の埼京線の痴漢張り込み捜査時に「こっそり痴漢した女」だとは思ってもいない。彼は、この部屋の住人が、長岡六助の何か特別な秘密を知っているのではないかと期待してチャイムを押しているだけなのである。

するとしばらくして、カチャ・・・とドアの鍵がなった。
刑事は(在宅だ!)と胸を躍らせる。
しかし、ドアからスっと顔を出したその見覚えのある女に、刑事は瞬時に「ゲっ!」と絶句した。

「・・・毒蛇・・・さん?」
その女はチンプンカンプンな事を刑事に言って来た。
そんな女を見て、刑事は一瞬(アホ?)と思うが、しかし、たとえ相手がアホであってもここで下手に騒がれては、痴漢捜査中にこの女に痴漢をしていた事が同僚達にバレてしまう危険性がある。

そんな事を刑事が考えながら冷汗をかいていると、再び女は「毒蛇さんなんでしょ?」と、眉間にシワを寄せながら今にも泣きそうな顔をした。
泣き出されたら困るという焦りから、刑事はおもわず「そうです。私が毒蛇です」と、志村けん風に戯けてみせた。

そんな刑事を見てしばらく止まっていた女だったが、急に「クスッ」と笑った。
そして女はその笑顔のまま「入る?」と小動物的な目を向けて来た。
刑事の股間がとたんに疼く。しかし背後からは同僚達の「係長!403号室は不在です!」という声が聞こえて来る。
同僚達の足音が迫ってくる中、刑事は女に「1時間後、もう一度来ます」と囁き、さりげなく喰わえていた禁煙パイポを女の唇の中にスっと入れると、そのまま部屋のドアを閉めたのだった。


これが、直美と刑事が再会したストーリーだ。偶然過ぎると言われればそれまでだが、しかしそれが小説なのだから仕方がない。


そんな再会を果した2人は、その日のうちに互いの性器を結合させた。
もちろん、刑事は直美に自分の身分を隠し、そして毒蛇というなんだか意味不明な男になりすましている。
直美は直美で、この刑事が、自分をヒキコモリという地獄から救ってくれた毒蛇だと心底思い込んでいる。

本物の毒蛇はブタ箱の中にいるため「たまごかけごはん」にコメントを書き込む事はできない。毒蛇からのコメントが急にピタリと止まったと同時にこの刑事が現れたため、直美は余計この男が毒蛇であると信じきっていたのだった。

それからというもの、刑事は直美のその弾けるような肉体を毎日のように弄んだ。刑事が思っていた以上に直美はセックスに対し無知だった。そんな直美に、汚れた刑事はあらゆる卑猥な行為を教え込んでは愉しんだ。

それまで、通りすがりの見ず知らずの男達からまるで公衆便所のような扱いを受けて来た直美。そんな直美は刑事との濃厚なセックスにみるみるとハマっていった。愛に餓えていた直美は、この刑事の腐った手によっていとも簡単に堕とされてしまったのだった。


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ジャガイモを手にした直美が部屋に帰って来たのは、刑事が電話を終えてから10分くらい経った頃だった。
「ごめんね、今すぐ作るから」と、ハァハァと肩を揺らしながら台所へ向かう直美に、刑事は携帯のメールを見つめながら「あぁ」と、どうでもいい返事をした。

クローゼットの中の六助は、直美にカレーが作れるのか?と、目を丸くした。以前、六助が直美と母親の交換日記を読んでいた時、そこにこんな事が書いてあった。
『お母さん。ごはんってどうやって炊くの?』
一応、料理人である六助は、交換日記のその言葉を見てゲラゲラと大笑いしながらも、世の中にはメシも炊けねぇヤツがいるのか・・・と、ちょっと自分に自信が付いたものだった。

そんな直美が、六助が社会不在だった、たった20日間足らずのうちに、今はカレーを作ろうとしている。
六助は、クローゼットの中にまで漂って来るカレーの匂いに鼻を動かしながらも、(成長したな・・・あいつはきっとイイ女になるぜ・・・)と、なぜか優しい気持ちに包まれた。

六助らしくない。書いている作者が言うのも変な話しだが、こんなホノボノとした六助は、六助らしくない。
そうだ、きっと六助は直美に惚れてしまったのだ。そうに違いない。
そう作者がそっちの方向へと強引にストーリーを変えようとしていると、クローゼットの中の六助もそんな作者の意を酌んでくれたのか、(もしかしたら俺は・・・本気で直美に惚れちまったのか?)と思い始めた。

直美の事を思うと、何やらこう今までとは違った焦りというかイライラというか、ムズムズと無性に精神が落ち着かなくなるのである。直美とは一度も言葉を交わした事も無ければ、まともに顔も見た事がないというのに、なぜか六助は直美の事を思うと、切なくてやるせなくて、どうにかすると泣き出してしまいそうな、そんな胸をギュッと締め付けられるような気持ちになってしまうのだ。
そんな気持ちは、このクローゼットの中で初めて生まれた。それまでは、このヒキコモリ女をいかに残虐に犯すか、いかに変態な行為で狂わせるか、と、そんな事ばかり考えていた。そう思いながら、刺身包丁を腰に挿し非常用はしごを飛び降りこの部屋に侵入したのだ。
しかし今は違う。この汚れた刑事に直美を盗られたという事実を知ってから、六助の直美に対する気持ちは大きく変化したのだ。

(直美は俺のもんだ・・・ヒキコモリのあいつをここまで調教したのは俺なんだ・・・ちきしょう、横取りしやがって・・・この泥棒刑事めが・・・)
こいつが刑事でなかったら間違いなく秒殺しているだろうと、クローゼットの中の六助は出刃包丁を握る手にジワジワと汗を滲ませた。

ベッドの上で携帯のメールを見ていた刑事は、フーッ・・・という溜息と共に、携帯をベッドの上に放り投げた。そして、台所に目を向けながら「ねぇ・・・」と声を掛ける。
スタスタスタっというスリッパの音を靡かせながら、「なに?」と直美がやって来た。

「明日の事なんだけど・・・明日朝一番で埼京線に乗らないか?・・・・」
刑事は、いかにも色男っぽい嫌な笑顔を作りながら、そう直美に話し掛ける。
「・・・別にいいけど・・・どうしたの急に?」
ベッドの前でそう答える直美はスヌーピーのエプロンをしていた。
「いやね・・・なんか急に・・・ムラムラとしてきちゃってさ・・・」
刑事はベッドの前の直美の腕を掴むと、そのまま静かに直美の体を引き寄せた。
そしてエプロン姿の直美を背後から優しく抱きしめると、直美の耳元に「電車の中で感じてるキミを想うと・・・堪らないんだよ・・・」と囁きかけ、そしてそのまま直美のプルプルの唇の中に舌を押し込んだ。

それは実にアダルティーな接吻だった。それまで獣のように荒々しいキスばかりされてきた直美が、この濃厚でアダルティーな甘いキスに心を動かされるのは当然である。
瞬く間に瞳をトロンと蕩けさせた直美は、その半開きの唇から舌を出し、ウナギのようにくねる刑事の舌に自分の舌を絡め合わせる。

刑事は、巧妙な舌ワザを繰り返しながらも、直美のエプロンをゆっくりと外す。
そして、直美の唇からヌッと舌を抜くと、既にハァハァと感じ始めている直美の耳元に唇を触れさせ「オッパイ・・・自分で捲って見せておくれ」と、いやらしく囁いたのだった。

直美は、まるで催眠術に掛けられているかのように、虚ろな目をして静かにTシャツを捲り上げた。
黒いTシャツに直美の真っ白な肌が浮かび上がり、そして、まるで零れ落ちるかのように直美のお椀型の乳肉がボロンと波を打って飛び出した。

今まで、ネットで何度か直美の乳画像は見た事があったが、しかし直美の生乳を見るのはこれで2度目だ。1度目は、あれは確か、大沼公園の石碑裏でレイプされていた時の事だ。あの時は暗闇の中だったからハッキリと見る事はできなかったが、しかし今は違う。爛々と蛍光灯が照らすベッドの上。直美の毛穴までもクッキリと見えるのである。
直美の白い生乳はとても綺麗だった。遊び慣れていない乳首は色素が薄く、そんな初々しい乳首が、いやらしくもピーンと勃起しているその姿は、妙に生々しくそして痛々しかった。

「見てるぅ?・・・・」
背後の刑事に直美が甘い声で囁く。
「見てるよ・・・とっても綺麗だよ・・・」
「・・・恥ずかしい・・・」
直美はそう言うと、恥ずかしそうにクスッと笑い、そして顔を上げながらもう一度キスを求めた。

そんな2人のラブラブなシーンをまざまざと見せつけられた六助は泣き出しそうだった。
(これはカルマだ!こんな残酷なシーンを見なければならないなんて、これは今まで散々悪行を繰り返して来た自業自得!因果応報!つまりカルマなんだ!煩悩だ!俺のこの煩悩がいけないんだ!一刻も早くヨッシーに108発の性交を達成してもらいこの煩悩を取り除かなくては!)
六助は、前刑の静岡刑務所で同じ房にいたオウム真理教の元信者から教えて貰った仏教用語を、意味もわからないくせにとにかく乱発した。
そしてこのカルマから逃れる為にもと、逃げて行った元嫁の品粗で萎びたオッパイを強引に想像した。


元嫁の悲惨なオッパイを思い出し、幾分か気分が楽になった六助は、もう二度とクローゼットの外を見るまいと心に誓い、再びハムスターのように衣類の中へと潜り込んだのであった。

しかし、目は塞げても耳を塞ぐ事は出来なかった。
クローゼットの外から聞こえて来る、直美の切ない喘ぎ声と刑事のいやらしい囁き。そして時折激しくなったりゆっくりとなったりする、ぺちゃ、ぺちゃ、ぺちゃ、という舐め音が、視界を塞いでいる六助にあらゆる変態行為を想像させた。

直美は、刑事のその小刻みな舌の動きに、脳がジワーッと溶けて行くような感覚を覚えた。
刑事は舐めるのが好きだった。
直美の足の小指から始まり、膝の裏や太ももの内側など、直美がくすぐったがる場所を舌で探し求めながら直美の全身を這い回る。特に下半身は執拗だった。両足をM字に開き、剥き出しになったアナルを念入りに舌先で転がし、そしてパックリと口を開いてはヨダレのような蜜をタラタラと垂れ流す膣へと、アナルからチロチロと這い上がって来るのだ。両太ももを力強く押さえ付け、おもいきり開かせた膣の中に、太らせた舌を根元まで押し込みヌポヌポといやらしくピストンさせたり、そうかと思えば、膣の両サイドでビラビラと歪な姿を見せる花びらを、まるで中華料理を食べるかのように、それを口の中に吸い込んでは、チュル、チュル、と美味そうにしゃぶった。

刑事のその行為はまさしく変態セックスだった。しかし、そんな変態セックスが直美を堪らなく感じさせてくれたのだ。

六助は、そんな淫らな音を聞かされながらも、(もうヤメろ・・・直美、もうヤメるんだ・・・)と、顔を埋めた衣類の中で声を出さずに泣いていた。

しかし、そんな六助を更に絶望へと追いやるかのように、「・・・しゃぶってごらん・・・」という、刑事のいやらしい囁きが六助の耳に忍び込んで来た。
ベッドの上で直美が体勢を変えるゴソゴソっという音が響く。
しばらくすると、パプッ、パプッ・・・・という、唇と肉棒が粘着し合う卑猥な音が六助の耳に襲いかかって来た。
そんな効果音を聞かされた六助の『脳シネマ』では、直美が肉棒を上下に喰わえるリアルなシーンが延々と上映されていたのだった。


               35


直美は刑事の肉棒の固さを唇で確かめながら、このカチンカチンに固くなったモノを早くアソコに入れて欲しいと密かに願っていた。
しかし、この男は、舐めるのも好きだが焦らすのも好きらしい。
我慢できなくなった直美が「入れて・・・」と悲願しようモノなら、オマンコに指を挿したままわざと携帯電話を掛けたりと、そんな意地悪をしては直美を焦らすのだ。

だから直美はあえて悲願しないようにしていた。逆にこの男が早く入れたくなるように、濃厚で変態な行為を繰り返しては、挑発してやるようにしていたのだ。
そんな互いの「挑発」が相乗効果を増し、2人のセックスは実に日活ロマンポルノ的なる官能セックスへと発展して行った。
互いに急所を舐め合い、指で愛撫し合い、そして卑猥な言葉を囁き合う。
その、結合までの道のりはかなりの時間を要し、結合に至る頃には、直美はもう何度もイカされていた。

足をM字に開かされては執拗に女性器を舐められていた直美は、3度目にイキそうになった時、もう限界だと感じ、「お願いだから入れて?」と、男の顔を覗き込みそう悲願した。
「ふふふふ・・・。キミは痴漢されてる時も、痴漢にそうやって囁くらしいね・・・」
男は直美の膣の中に太い指を泳がせながら、いやらしく微笑んだ。
「嘘よ・・・そんな事、言わないわ・・・・」
直美は恥ずかしそうに男から目を背けた。しかし、直美が痴漢にそう囁くのは事実だった。痴漢を取り締まる刑事達の間では、直美は密かに「痴女」として認定されていたのだ。

痴女も痴漢同様に取り締りの対象とされていた。しかし、現場の刑事達はあえて痴女の摘発には乗り出さなかった。なぜなら、痴女は痴漢という獲物を誘き寄せる格好の囮だからである。
表向きは「痴漢撲滅」などと、熱心なフリをしている刑事達ではあるが、しかし本当に痴漢が撲滅してしまって一番困るのは、それを取り締まる刑事達なのである。
痴漢が絶滅すれば痴漢を取り締まる刑事達もまた同様に絶滅する。まさにこれは捕鯨の原理なのであった。

そんな刑事達から「電車の中で本番をヤらせる女」として認定されていた直美は、まさに大物痴漢を釣り上げる為の「餌」でしかなかった。
電車の中の刑事達はいちいち小物は狙わない。例え、小物を捕まえたとしてもキャッチ&リリースの精神で、小物は逃がしてやる。そうしなければ、痴漢は絶滅してしまうからだ。
だから刑事達は、自分の点数を稼ぐ為にもより大物を狙っていた。
痴漢グループのボスや有名痴漢常習犯などの大物を狙う為には、それなりの餌が必要なのだ。
そんな刑事達は、大物を釣り上げる為の上質な餌を、電車の中で確保していた。
刑事達は、痴漢達がヨダレを垂らすような痴女を見つけ出し、金、セックス、権力で彼女達を調教しては最高の餌に仕上げているのだ。

そんな業界で、「電車の中で本番をヤらせる女」と異名を取る直美は、刑事達の誰もが羨む最高級の「餌」だった。歳が若く、顔はロリータ、ボディーは巨乳でムンムンとスケベなフェロモンを放ち、そして変態。こんな「餌」はなかなか手に入らない。
だからこの刑事は、直美という「餌」を引き止めておく為にも、直美とのセックスには最大限のパワーとテクニックを惜しみなく使っていたのだった。

「・・・電車の中で入れられるのはどんな気持ちだい?・・・」
刑事は、直美をもっともっと欲情させようと、直美が感じる言葉を選び出し、愛撫しながら囁きかける。
「いや・・・そんな話し、もうやめて・・・」
口では嫌がりながらも、直美の胸の奥にはムラムラと新たな感情が沸き上がって来る。そんな直美の性癖を知り尽くしている刑事は更に残酷な言葉を続ける。

「電車の中で、知らない人にズボズボとヤられて、病気とか怖くないの?・・・」
刑事はみるみるといやらしい汁が増えて来るアソコを、指で乱暴に掻き回しながら聞く。
「平気で中出しまでさせてるらしいじゃないか・・・ん?・・・どうなんだい?」
直美の耳元で刑事がそう囁くと、Mっ気を刺激された直美は、その言葉だけで大きな声を出してしまった。

「お願い!入れて!お願いします!」
直美が刑事の体にしがみつく。
それを刑事は軽く躱しながら、力一杯クリトリスを摘まみ上げた。
「入れて欲しいなら正直に言えよ。おまえは埼京線の電車の中で見ず知らずの男にヤらせているよな?そしてそんな男達に『中で出してもいいよ』なんて挑発しては、射精させてるだろ?え?どうなんだ?」

そんな刑事の言葉をクローゼットの中で聞かされていた六助は、「取調べそのものじゃねぇかよ!」とツッコミを入れながらも、またしばらくすると悲しくてメソメソ泣き出した。

「そうだろ?おまえは埼京線の公衆便所なんだろ?ほら、はっきり言ってみろよ、私は公衆便所ですって」
刑事は直美の尻をペタペタと平手打ちしながら厳しく追及した。
「どうなんだ?ほら、言わネェか!こら!」
刑事はとてつもなく巨大なペニスをブンブンと振りながら、それで直美の乳や太ももを叩きまくった。

「そうです、私は埼京線の公衆便所です、だからお願い、もう入れて!」
直美がそう白状した瞬間、刑事はもの凄い早業で、M字に座っている直美の体を壁に押し付け、その巨大なペニスをヌプヌプヌプ!と突き刺した。

「ああああああああっ!」と直美が絶叫に近い悲鳴を上げる。その悲鳴を押し消すかのように刑事は直美に激しいキスをした。

その直美の絶叫を聞いて、もう我慢できなくなった六助が衣類の中から顔をムクリと起こし、ハァハァと必死に息を殺しながらベッドルームを覗き込んだ。


直美が汚されていた。腐った刑事に身も心も完全に汚されていた。
そんな汚れて行く直美を見つめながら、六助はズボンの中に静かに手を入れた。
ヌチャっとした生暖かい感触が六助の指に付着する。悲しい事に六助は、既にイってしまっていた。


               36


刑事と直美の肌がぶつかり合う激しい音と、ベッドのスプリンクがギシギシと揺れる音が部屋に響き渡っていた。
乱れる直美の体を羽交い締めにしながら、容赦なく腰を突きまくる刑事は、まるで子鹿に襲いかかる獣のようだった。

「おい、イクぞ!中で出すぞ!おい、いいな?」
正常位で腰を振る刑事は、直美の小さな顔を両腕で固定しながら乱れ狂う直美に問いかける。
「あぁぁぁ!中で出して!あああああ!」
まるで泣き叫ぶかのように直美がそう叫ぶと、刑事は「うっ!おぉぉぉぉぉっ!」と唸りながら土俵で四股を踏む関取のような顔をした。
直美の股の中で、刑事の両足が綺麗に閉じられそしてピーンと伸びた。
それを見ていた六助は、まるで水泳選手がプールに飛び込む時のようだとふと思った。

ベッドの上で無言でハァハァと呼吸する2人。しばらくすると、直美が刑事の肩に手を回し、その筋肉で盛上がった背中をゆっくりと撫でながら「すごい汗・・・」と切なく呟いた。

と、その時だった。
刑事の背中の汗を官能的に触っていた直美が、いきなり「あっ!」と叫んだのである。
「ど、どうした?!」
直美の肩にぐったりと顔を埋めていた刑事が慌てて顔を上げる。
「カレー!」
直美はそう叫ぶと、刑事の体の中からスルリと抜け出し、そのカモシカのような細い足でピョンピョンと飛び跳ねながら台所へと向かった。
「あらら・・・・真っ黒・・・・」
すぐに台所から直美の声が響いて来た。



シャワーを終えた刑事は、鏡を覗き込みながらパイポをカリカリと齧り、慣れた手つきでネクタイを締めている。浴室からは妙に機嫌の良い直美の鼻歌が聞こえて来た。

せっかくのカレーを真っ黒焦げにしてしまった2人は、しょうがないから近所のガストへ行こうと言う事になり、せっせと準備を整えていた。
鏡の前でネクタイを締めている刑事をクローゼットの中からジッと見つめていた六助は、直美が風呂から出て来る前に、このままヤツの背中にブスリと刺身包丁を突き刺そうかどうしようか迷っていた。

このままでは直美はダメになる。せっかくヒキコモリから立ち直ったというのに、このままこの悪徳刑事に利用されて行けば、きっと今まで以上の地獄を味わされる事になってしまう・・・

六助はそう考えながら、直美を守ってやれるのは自分しかいないんだと強い信念を持った。
そして刺身包丁をギュッと握りしめ、ゆっくりと起き上がろうとした時、浴室のドアが開き、直美の足音が聞こえて来た。

(くそっ!)
出鼻を挫かれた六助は屈んでいた腰をまた元の姿勢に戻す。

「ねぇねぇ、何食べるぅ?」
バスタオルをマントのように翻しながら、直美は大きな胸を揺らしてはやたらと嬉しそうに、鏡の前の刑事にまとわりついた。
「・・・なんでもいいよ・・・」
精液を放出したばかりの刑事は、直美のそのベタベタモードに露骨にイヤそうな表情をした。
「・・・どうしたの?・・・ガスト、嬉しくないの?」
直美が淋しそうな顔をして刑事を見つめる。
刑事は、ふん!と鼻で笑うと、「ガストごときで喜ぶなんて、珍しい女だねキミは・・・」と、吐き捨てながらセッセと鏡の前でネクタイを締めていた。

(ヒキコモリだったあの子には、たとえガストだって夢のように楽しみなんだよ・・・所詮、エリートのおまえには・・・あの子の気持ちはわかんねぇだろうよ・・・)
六助は刑事の背中と淋しそうに俯く直美を交互に見つめながら、唇を尖らせた。

一気に暗い表情になった直美は、下唇を噛みながら、ベッドの下に転がっていた下着を手に取った。
「・・・どうしたの?急に暗くなっちゃって?・・・私、なんか気に障る事言ったかな?」
刑事はその動物的直感で直美の異変に気付くと、すぐさま直美のご機嫌を伺い始めた。刑事にとっては大切な餌である、ヘソでも曲げられては大変なのだ。

「うぅん、ごめんなさい、なんでもない・・・」
Tシャツを頭から被る直美が無理にそう微笑む。
刑事はそんな直美に安心したのか、「あぁ、そう」と業務的に笑うと、「じゃあ、行こうか」と、パイポをガリガリと言わせながらさっさと玄関へと歩き始めた。

1人取り残された直美は、Tシャツからスポン!と小さな顔を飛び出すと、床に散らばった服を急いで拾い始めた。

(直美・・・・直美・・・・)
そんな直美に、六助はクローゼットの中から呼びかける。
そんな六助の気持ちが通じたのか、靴下を履こうとしていた直美の手が一瞬止まり、ふいに直美は部屋の中をキョロキョロと見回した。
(直美!聞こえるのか?!直美!)
驚いた六助は、心の中で必死でそう叫んだ。
しばらく直美は部屋の隅を見つめていたが、しかし不思議そうに首を傾げると、また急いで靴下を履き始めた。

(直美!行くな!あいつに付いて行っちゃダメだ!あいつは悪いヤツなんだ!お前を利用しようとしているだけなんだ!)
六助は必死でそう呼びかけるが、しかし六助の念は直美にはそれっきり通じなかった。

「おい、まだか?」
玄関から刑事の声が響いて来た。
「今いくぅ」
直美はテーブルの上の財布を鷲掴みにすると、その細い体をうさぎのようにピョンピョンとさせながら玄関へと向かった。そして、部屋を出る前にもう一度クルッと振り返ると、部屋の中を点検するかのように見渡した。
その時六助は一瞬直美と目が合った気がした。
泣きそうになった六助は、おもわず「直美・・・・」と声を出してしまう。
部屋の中に微かに響く六助の声。
玄関に行きかけた直美が「えっ?」と足を止めた。
もう一度部屋を見回す直美。
その直美の瞳があまりにも切なすぎて六助はまともに見れなかった。
直美は小さな声で「気のせいかしら・・・」と独り言を呟くと、パチッ!と部屋の電気を消し、またうさぎのようにピョンピョンと跳ねながら去って行ったのであった。


               37


2人の足音が去って行くのをクローゼットの中で聞いていた六助は、その足音が完全に消えるとソッとクローゼットを出た。
部屋には今まで2人が交わっていた淫媚な香りが漂っていた。ベッドに腰を下ろすと、今までそこで乱れていた直美の香水の香りが六助を包み込み、あの残酷なシーンを鮮明に甦らせた。
乱れたままのベッド、黒こげになったカレー、屑篭の中の丸められたティッシュ。そして浴室からは、まだ生暖かい湯気がボディーソープの香りを運んで来る。
そんな空気に包まれていた六助は、妙にギシギシと胸を締め付けられながら、もしかしたらホンキで直美を好きになってしまったのかも知れない・・・と、ふと思った。

そう思ったとたん、同時に激しい怒りが六助の脳味噌をグツグツと沸騰させた。
毒蛇の名を騙り直美を横取りしたというのも許せない。が、しかしそれよりも、あのヒキコモリで純情な直美を騙し痴漢捜査のオトリに使っているという、その薄汚い根性が許せなかった。
ホストが女を騙すのは許せる、それがヤツラの商売だ。ヤクザが女をソープで働かせるのもいいだろう、女だってそれを承知でヤクザに付いて行くんだから。しかし、刑事はダメだ。刑事は人を騙しちゃいけないんだ。直美のような無知な女を犠牲にして自分の出世を考えちゃいけないんだ。

「あの糞刑事だけはぜってぇに許さねぇ・・・・」

暗闇の中、握りしめた拳をブルブルと震わせながらそう呟いた時、ふと足下に、カーテンから差し込む街灯の明かりに照らせれながらテラテラと黒光りしている携帯電話を発見した。
なにげなくそれを手にしながら、六助はそれがあの糞刑事の携帯だという事に気付いた。
六助はその黒光りする携帯を握りしめながらニヤリと笑う。

「・・・見てろよ糞刑事・・・天誅が下るぜ、天誅がよ・・・・」

六助は不敵にそう微笑むと、静かにこの残酷な部屋を後にしたのだった。


(最終章/天誅の章へつづく→)

(たまごかけごはん/目次)

第1章/下着泥の章
第2章/洗脳の章
第3章/強姦の章
第4章/痴漢の章
第5章/恥骨マッサージの章 
第6章/寝取られの章 
最終章/天誅の章


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