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餓鬼11



ボウリング場を囲む閉鎖フェンスを潜り抜けると、日頃は聞こえない点滅信号の音がカチカチと響いていた。
静まり返った大通りを素早く走り抜け、舗装されていない狭い路地裏に飛び込んだ。薄汚い木造家屋が立ち並ぶ細い路地をくねくねと走り抜け、その突き当たりにある巨大な佐古多川の河原に潜り込んだ。
街灯ひとつない河原は、伸びっぱなしの雑草が月夜に照らされ、辺り一面モノクロームの世界だった。
そんな不気味な河原を、哲雄は雑草を掻き分けながら全速力で走り抜けた。

途中、下水道近くの沼地で巨大ドブネズミの大軍と遭遇した。
哲雄の足音に慌てふためいた数百匹のドブネズミは、綺麗に一列に並んだまま次々に川の中に飛び込んで行った。それはまるで、洗脳された信者たちが次々に夜の海に飛び込む、集団自殺のようだった。
哲雄は、ネズミを踏んづけてしまうのではという恐怖に駆られた。
慌てて土手側へと飛び退くと、そこに不法投棄されていた洗濯機に蹴躓いて転倒した。
雑草の中をざわざわと走り抜けて行くドブネズミ達の蠢きを聞きながら、「痛てっ……」とゆっくり起き上がると、遠くの方に佐古多橋がぽっかりと浮かぶのが見えた。
真っ黒な水が月夜に照らされながらゆらゆらと揺らめいていた。それはまるで、道徳の授業で見た、興龍寺に掲げられている『三途の川』の地獄絵のように、幻想的でそして不気味だった。

(あそこで……あの佐古多橋の土手で、もし俺達が売人を襲わなかったら……今頃、敏光のお父さんも、敏光のお母さんも、そして敏光も……)

生臭い居間で夕食を食べる、幸せそうな家族三人の姿がふっと浮かんだ。
哲雄は唇を噛みながら遠くの佐古多橋を見つめ、指先で擦り剥けた肘を恐る恐る触った。べろっと皮が剥けた傷は口の中のように生温かく、ジワリと滲み出る血はボンドのようにネトネトしていた。
急に走る気力を失った哲雄は、そのまま雑草を掻き分けながら河原を歩いた。捨てられた自転車の残骸を飛び越え、携帯を見た。時刻は夜中の一時を過ぎた所だった。

そのまま佐古多橋を潜り抜け、夜の校舎が不気味に浮かび上がる中学校を通り過ぎた。そして次の橋が見えて来た所で土手に上がり、そのまま反対側へと土手へと降りると、公園の脇にズラリと並ぶビニールハウスを警戒しながら高井田公園に潜り込んだ。
公園の奥にある公衆便所の裏へ身を隠すと、食べかけのコンビニ弁当と『おーいお茶』が散乱し、ついさっきまでそこに誰かがいた形跡を見た。

公衆便所の裏で一人淋しく賞味期限切れの弁当を貪り喰っていたこのホームレスは、きっとあの青いビニールハウスの仲間入りを拒まれているのだろうと思うと、こんな底辺の世界でもイジメが存在しているのかと首筋に悪寒が走った。
散乱した弁当箱の中に転がる、齧りかけのフライを見つめながらそこにしゃがんだ。開けっ放しの便所の窓から、ポタポタと水滴の落ちる水道の音が微かに聞こえた。
哲雄はずっと考えていた。景品交換所を襲撃後、ボウリング場の廃墟のアジトに潜伏した時から、ずっと考えていた。
この金で敏光の家族を救えないものか、と。

しかし、この金は夢を叶える為の軍資金だ。この金を使ってしまえば、この町から脱出するという夢が遠離る。やっと目標の三百万円を遥かに超える軍資金を手に入れたというのに、また、明日から地獄の釜の中で悶え苦しまなくてならないのだ。
再び興龍寺で見た地獄絵が哲雄の頭を掠めた。そして、興龍寺の和尚さんの言葉がふと甦った。

「餓鬼道に出口は無い。餓鬼道に堕ちた者は餓鬼となり、延々とその苦しみに耐えていかなければならない」

薮の中に、ジッと息を潜めながら哲雄を見ている野良猫が一匹いた。
恐らく齧りかけのフライを狙っているのだろう、野良猫のその目は、隙さえあらば襲い掛かってきそうな、そんな血気迫る気迫が感じられた。
「おまえも餓鬼道に堕ちたんだね」
哲雄はそう呟きながら齧りかけのフライを薮の中に投げてやった。
フライに齧り付いたまま慌てて逃げ去って行く野良猫の影を見つめながら、哲雄は思った。
敏光はまだ餓鬼道に堕ちていない。
敏光の貧弱な笑顔が頭に浮かんだ。敏光を餓鬼道に堕としてはいけないと思いながらも、どうして自分は敏光をそこまで庇うのだろうかと不思議に思った。

携帯を開き、敏光の番号をアドレスから探し出した。
敏光は携帯を持っていなかった。もしおばさんが電話に出たら切ろうと思いながら、敏光の家に電話を掛けた。
プルルルルルルっとコールが鳴る度に、心の中で「1……」と呟いた。十回コールして出なかったら切るつもりだった。

素早く電話が切れるようにボタンに親指にあてたまま、「8……」と呟くと、不意にコールがピタリと止まり、いきなり静けさに包まれた。
携帯を耳に押し当てたまま息を殺していると、受話器の向こうから、「もしもし……」っという、いかにも寝起きの敏光の声が聞こえて来た。

「敏光か?」
哲雄は慌てて携帯を握り直した。
「……」
「敏光だろ?」
「てっちゃん?……」
「うん」
「どうしたのこんな時間に!」
敏光はしゃがれた寝起きの声を一オクターブ上げて叫んだ。
「うん……今、高井田公園の公衆便所の裏にいるんだけど……今からちょっと出て来れないか?」
敏光が黙り、再び静けさに包まれた。受話器の向こうから、カッチカッチと時計の針の音が聞こえ、哲雄の脳裏に、生臭い居間の柱に掲げられていた年代物のボンボン時計が鮮明に浮かんだ。
しばらくして、敏光が「わかった」と呟いた。
「じゃあ待ってるから」と電話を切ろうとした哲雄は、「あ、それから」と慌ててもう一度携帯を耳に押し当てた。
「この事、おばさんには内緒だぞ……」
「うん。わかってる」
敏光はそう呟きながら電話を切った。

哲雄は切れた携帯のディスプレイを見つめながら大きな溜息をつき、そのまま公衆便所の裏から出た。
公園の水銀灯の明かりが樹木の隙間から洩れ、哲雄を照らした。
そこで初めて自分のTシャツが血まみれな事に気付いた。
擦り剥いた肘の傷は既に血が乾き始め、半生のカサブタはマグロの刺身のようにプニプニしていた。




歯軋りしながら深夜の路地を走り抜ける正治の腹には、どっしりと重い拳銃が押し込まれていた。
(哲雄はあの二百万を魚屋にやる気だ……どうして俺達が死に物狂いで手にした金をあんな奴にやらなきゃなんねぇんだ……)
正治は路地の隅に置いてあった三輪車を蹴飛ばしながら、「奪い返してやる!」と吐き捨てた。
シャッターの閉まった商店街の裏路地を通り抜け、大通りを避けながら細い路地ばかり進んで行くと、いつの間にかネオンが灯る盛り場の一角に辿り着いていた。

ヘドロがこびりついたコンクリートの側溝からは独特な異臭が漂っていた。
側溝に溜る汚水には看板のネオンが反射し、汚水の底では白い米粒がウジ虫のようにプツプツと散乱していた。
バラック小屋のような店のドアが開き、中からヨレヨレの背広を着た親父がフラフラと出て来た。
正治は身構えながら電柱の影に身を隠した。
店の奥から「前田さん、煙草忘れてるよ」と、おばさんのしゃがれた声が聞こえて来たが、親父は振り向きもせずに歩き出した。
『マロン』と書かれたその店の看板は、蛍光灯が切れかかっているのか時折パッと消えてはすぐに点いた。正治は一刻も早くこの路地から抜け出した方がいいと思いながらも、どうして『栗』なのかと疑問に思った。

赤やピンクや黄色のネオンが反射するドブ臭い路地を、忍者のように身を屈めながら出口を探した。
「坊主! 母ちゃんを迎えに来たのか!」
ぐでんぐでんに酔っぱらった親父達が、すれ違い様に正治をからかった。
客を見送りに出て来たスケスケのネグリジェ姿のおばさんに「こんな所で何やってんの!」と叱られた。
この路地は、小学生が素通りするにはあまりにも目立ち過ぎた。

早く抜け出そうと本気で走った。
スニーカーの底をパタパタと鳴らしながら酔っぱらい達の間をすり抜け、『ホステスさん募集』の大看板を潜り抜け、ポリバケツに蹴躓いては蝶ネクタイの呼び込みに怒鳴られた。
腹に押し込んでいた鉄の塊が重かった。ひんやりとした鉄の冷たさが臍から全身へと伝わっていた。この角を曲れば出口だ、と勢いを付けながら潰れたラーメン屋の角を曲がると、再びネオンの輝く路地が現れた。その路地の奥に、『マロン』と書かれた看板がぶら下がっているのが見えた。



「あれ?……しょうちゃんは?……」
いつの間にかソファーで寝てしまっていたミツオが、荒れ果てたアジトをぼんやりと見回しながらミカに聞いた。
ミカは黙々と食パンを頬張っていた。
「知らないわよ。『ぶっ殺す』って叫びながら出てったわよ」
一点をジッと見つめたままムシャムシャと食パンを頬張りながらミカが言った。
「うそ……しょうちゃんも僕を置いて出てっちゃったの……」
ミツオが心細そうに呟くと、ミカは口の中からグチャグチャに湿ったパンのカスをボトボトと吐きながら、「嘘じゃねぇよバカ」と叫んだ。
そんなミカはその後も黙ったまま食パンを頬張り続けた。口内がパンパンになるまで食パンを詰め込み、これ以上入らなくなると、唾液で湿った食パンをその場にブチャッと吐き出した。まるで精神を病んだハムスターのようだった。

グチャグチャの食パンを吐き出し、再び食パンを千切っては口に投げ入れていたミカだったが、突然、「あっ」と小さく叫んだ。
ミカは慌ててエアガンを掴むと、「また来た!」とポツリと呟きながら部屋の隅に向かってBB弾を撃ちまくった。
「何やってんの?……いったい誰が来たのさ……」
ミツオが、不思議そうに後に振り返りながら聞いた。部屋の隅の壁に無数のBB弾が飛び跳ねている。
「幽霊よ。ほら、そこにもいるじゃない、デブのおばさんがあんたの後で何か叫んでるわよ」
ミカはそう言いながら、今度は入口に向かってパシュ!パシュ!パシュ!と撃ちまくった。
「やだよぉ!」
ブルブルッと背筋を震わせたミツオが、ジーンズの股間を指で摘みながら足をバタバタさせた。
「怖がらなくてもいいわよ。ミカが全部やっつけてあげるから」
ミカは無表情でそう呟くと、持っていたエアガンをいきなりテーブルの上に投げ捨て、再び無表情でムシャムシャと食パンを口に押し込み始めたのだった。

ミツオは急に恐ろしくなった。
ミカのいう『幽霊』も不気味だったが、しかしそれよりもミカ自身が気味悪かった。
確かにミカは、日頃からおかしな生徒だった。
理科の実験中、アルコールランプの蓋を開け始めたミカが、そのオイルをこっそり机の上に垂らしているのをミツオは見た事があった。
同じ机の生徒たちは誰もそれに気付いていなかったが、授業などまともに受けていなかったミツオははっきりとそれを目撃した。

ミカの隣りに座っていた栃本優子の教科書に、アルコールランプのオイルがジワジワと染み込んでいくのをミツオはワクワクしながら見ていた。
ヨレヨレの白衣を着た先生が、チョークをコツコツと鳴らしながら黒板に意味不明な記号を書き始めた。
一瞬、ミカが座る机の下が発光した。ミツオが机の下をソッと覗き込むと、黒のニーソックスに包まれたミカの細く長い脚の横で、マッチがメラメラと燃えているのが見えた。
「……二倍に薄めた過酸化水素水に二酸化マンガンを混ぜると、二酸化マンガンが化学変化を助ける働きをする事から」
まるで早口言葉のように、先生が黒板に記号を書きながらそう呟いた瞬間、ミツオは栃本優子が青い炎に包まれるのを見たのだった。

そんなミカにはとかく物騒な噂が多かった。
仲井啓介んちのポメラニアンに除草剤入りの菓子パンを食べさせて殺したとか、駅の階段で盲目の障害者を突き飛ばしたとか、マンションのベランダで捕まえた鳩の足をハサミで切ったなど、それは異常な噂ばかりだった。
この他にも、五十才の親父と付き合っているとか、一年生の男子生徒の陰茎の皮を剥いたとか、裏DVDに出ているなど、様々な噂が囁かれていたが、それもこれもミカが可愛いからそんなデマが飛び交うのだと、クラスの皆は本気にはしていなかった。
が、しかしミツオだけは違った。ミツオはその目でハッキリと、ミカが栃本優子を燃やす瞬間を見ていたからだ。

「ねぇ……てっちゃん達どこに行ったんだろう……」
ミカの本性を知るミツオは、先程からみるみると顔が歪んできているミカの顔に不安を覚えながら呟いた。
「だから知らないって、あんなバカ共……」
ミカは湿った食パンをポツポツと吐きながらそう呟くと、ふとミツオの股間をジッと見た。目覚めた直後から小便がしたくて堪らなかったミツオは、ジーンズの股間をずっと摘みっぱなしだったのだ。
「あんた、オシッコしたいんでしょ?」
ミカの言葉に、ミツオは素直にコクンと頷いた。そして、蚊の鳴くような小さな声で「便所について来てよ……」と恐る恐るミカの目を見た。
「ヤぁよ。そこですればいいじゃない」
「でも……しょうちゃん達に見つかると叱られるよ……」
「いいわよ、黙っててあげるから早くしなさいよ」
ミカは齧っていた食パンをミツオの顔に投げつけた。

「でも……」
そんなミツオに「はぁ〜」と大きな溜息をついたミカは、いきなりスクッとソファーを立ち上がるとミツオのジーンズの腰を掴んだ。そして「ほら、早く出しなさい……ほら早く出せって!」とイライラと叫びながら、ミツオのジーンズのファスナーを乱暴に下ろそうとした。
「いてててて」と体をくねらすミツオのジーンズを強引に引っ張りながら、ミカはパンツごとジーンズをズリ下げた。

すっぽりと下半身を曝け出したミツオの股間で小さなチンポがコロンっと跳ねた。
「うわっ、芋虫みたい」
すっぽりと皮を被ったミツオの性器を見て、ミカはケラケラと笑い出した。そして、恐る恐る指を伸ばすと、芋虫の先の弛んだ皮をピーンと引っぱり、そのらっきょのような形になったチンポに向かって「おまえはガムか」とツッコミを入れた。
「やめろよ〜」
ミツオが慌てて腰を引く。
ミカの指からミツオの芋虫がスポッと抜けると、ミカは摘んでいた指を恐る恐る嗅ぎながら「くさっ!」と叫び、その指を必死になってソファーに擦り付けたのだった。

慌ててズボンを上げるミツオには、いつの間にか尿意は消えていた。
一心不乱に指をソファーに擦り付けているミカの顔が、まるで別人のように酷く歪んできている事に恐れをなしたミツオは、一刻も早くここから逃げ出そうと焦っていた。
ソファーの下に転がっていたスニーカーを広い、それを慌てて履いていると、不意に背後から野太い声が聞こえた。

「どこに行くのよ……」
そんな声に振り返ると、いつしかミカがミツオの背後に立っていた。
既にミカの顔は、絵具が水の中で渦を巻くように歪んでしまっている。

そんなミカの顔にとたんに薄気味悪くなったミツオが、「あっち行けよ」と、ミカの体を突き放すと、急にミカはニヤニヤと笑いだし、「ミカのも見せたげよっか?」と、ミツオの耳元にコソコソっと囁いた。
「えっ?」
ミツオが止まった。
歪んだ顔をニヤニヤさせながら、ミカはスカートをゆくっくりとたくし上げた。そして、パステルイエローのパンツをチラチラと見せつけながら、「いくらくれる?」と、テーブルの上に置いてあるミツオの二百万を指差した。

何が何だかわからないくらいに興奮するミツオは、「い、いくらならいいの?」と、唇をヨダレでテラテラと輝かせながら身を乗り出した。
そんなミツオを歪んだ笑顔で見つめながら、ミカはパンツのゴムを指で摘まみ、骨盤のくびれまでスルッと下げた。
淡いパステルイエローの中から、黒々とした陰毛が少しだけ顔を出した。「ボーボーだ!」と、目をひん剥きながら驚くミツオに、「クスッ」と鼻を鳴らし、飛び出した陰毛をフワフワと優しく撫でながら、「百万円くれたら全部見せたげる」と優しく呟いた。

「いいよ!」
ミツオが嬉しそうに即答した。と同時に、いきなりボウリング場のホールから、ガタン! と非常階段の扉が響く音がした。
ミカとミツオが同時に窓に振り向いた。
「きっとしょうちゃんだ!」
パッと表情を明るくさせたミツオが窓に駆け寄ろうとすると、いきなりミカがテーブルの上に追いてあるミツオの金を鷲掴みにした。
「まだダメだよ! まだ毛しか見てねぇし!」
そう叫びながらミカの腕を掴むと、いきなりミカが豹変した。

「うるせぇ朝鮮人! 殺すぞキムチ!」
今にも噛みつかんばかりに歯を剥き出したミカは、まるで児童相談所の保健室に貼ってある『狂犬病にかかった犬には近付かないこと』と書かれたポスターの狂った犬のようだった。

たちまちミツオの股間に生温かい小便が広がった。
ミツオが怯んだ隙に、ミカが百万円の札束を鷲掴みにした。そしてもうひとつの札束に手を伸ばそうとした時、アゴをガクガクと震わせたミツオがミカに体当たりした。

窓際に吹っ飛んだミカの手から札束を奪い取ろうとすると、ミカはマントヒヒのように鼻穴と口内を凶暴に広げながら威嚇し、札束を思い切り引っ張り返した。
札束の帯がブチッと千切れ、そのまま札束は窓の外へ飛んだ。

「あっ!」と同時に叫びながら二人は窓から身を乗り出した。
百枚の一万円札が、まるで夜桜が散るように闇の底へとパラパラと舞い落ちて行った。
そんな闇の底に無数の光りが蠢いていた。それはまるで巨大な深海魚の化け物が深い海の底で発光しているかのようだった。

舞い落ちて来た一万円札に気付いたのか、その光りは一斉に上に向いた。
無数の懐中電灯の光りを浴びた二人は、身動きできないまま呆然と立ちすくんでいた。
「警察だ!」
闇の中から野太い声が響いた。
気が付くと、ボウリング場の一階の窓には、無数の赤いランプがパカパカと浮かんでいたのだった。

(つづく)

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