夏休み子供劇場7・僕のお姉ちゃん
2012/05/31 Thu 00:13
どうしてここに僕のお姉ちゃんがいるんだろうと、僕の頭は激しく混乱した。
一瞬、お姉ちゃんは僕を捜しにここに来たのではないだろうかと思い、どうして僕がここにいる事がわかったんだと焦りに焦りまくった。
しかし冷静に考えれば、そんな事があるはずなかった。
僕がこの押入れに潜んでいる事など、二人は夢にも思っていない様子なのだ。
(ならばいったいお姉ちゃんは何をしに来たんだ)
そう思いながら額から垂れる汗を拭っていると、不意にお姉ちゃんが紙袋の中からセーラー服を取り出すのが見えた。
「もう着替えてもいい?」
お姉ちゃんはそう言いながらおっちゃんを見下ろした。
「うん、いいよ」
そう呟くおっちゃんは、何やら物々しい撮影機材をカチャカチャとセットしていた。
僕はそんな二人を襖の穴から覗き見しながら、これはただ事ではないぞと凄まじい焦燥感に駆られた。
が、しかし、ここに隠れている事がバレるわけにはいかない僕は、どうする事もできず、ただただ額から流れ落ちる汗を拭き取る事しかできなかった。
お姉ちゃんはジーンズのボタンに手を掛けながら「あっち向いててよ」と、お姉ちゃんを見上げるおっちゃんに頬を膨らませた。
「どうせ見るんだからいいじゃん」
おっちゃんはそうニヤニヤと笑いながらビデオカメラを三脚にセットしている。
「ヤダ。素のパンツ見られたくないもん」
お姉ちゃんが頬を赤らめながらそう言うと、おっちゃんは「わかった、わかった、見ないよ」と笑いながら、ポケットの中から何やら真っ赤な布切れを取り出した。
「じゃあこれ、さっき言ってたシースルーパンツ」
おっちゃんはそう言いながらお姉ちゃんにそれを渡すと、「よろしくね」と呟き、そそくさとお姉ちゃんに背中を向けた。
お姉ちゃんはその赤い布切れを恐る恐る広げた。
それはほとんどがレース生地で出来ているスケスケのパンツだった。
この押し入れの中で山積みになっているビニ本の中にも、そんなスケスケパンツを履いている女の人が沢山いた。
「これ、丸見えになっちゃうよ……ヤダ」
お姉ちゃんはは今にも泣き出さんばかりの表情で、背中を向けるおっちゃんに訴えた。
するとおっちゃんは三脚のネジをクルクルと回しながら「二万円も払ってんだから辛抱してよ。たった三十分のビデオ撮影でこのギャラは、田口ゆかりクラスだぜ……」と独り言のように呟いた。
そんな田口ゆかりのビニ本が、丁度僕の足下にポツンと転がっていた。
『ゆりかご』と書かれたそのビニ本の表紙には、田口ゆかりと思われる女の人が大きく股を広げていた。
僕は足下に転がる田口ゆかりを見つめながら、お姉ちゃんはビニ本嬢になるつもりなのかと酷く心を痛めた。
背中を向けるおっちゃんを横目に、お姉ちゃんは渋々ジーンズを脱ぎ始めた。
真っ白な細い脚が、お姉ちゃんのお気に入りのリーバイスの中からスルスルと顔を出した。
そんなお姉ちゃんのパンツはキティーちゃんだった。
しかも、随分と履き古しているのかお尻のプリントはかなり薄くなっていた。
「絶対にコッチ見ないでね」
そう言いながらお姉ちゃんはおっちゃんに背を向けた。
座敷の壁に向かいながら、恐る恐るキティーちゃんのパンツをスルッと下ろすと、真っ白な尻がプルンっと溢れた。
お姉ちゃんの尻を見るのは三年ぶりだった。
僕がまだ三年生の時、湘南の海水浴場のコインシャワーにお姉ちゃんと一緒に入った事があった。
お母さんがお金がもったいないから二人一緒に入りなさいと言ったからだ。
あの時に見たお姉ちゃんの尻と、今ここで覗くお姉ちゃんの尻とは全く違うものだった。
まだ中学一年生だったお姉ちゃんの尻は潰れた桃のようだったが、しかし、高校生になったお姉ちゃんの尻は、まさに『ゆで卵』のようにツルンっとしていた。
お姉ちゃんは生尻を出したまま、赤い下着をモゾモゾと広げていた。
すると、お姉ちゃんが気付かない事をいい事に、おっちゃんが背骨を仰け反らせながらお姉ちゃんの生尻の裏側をジッと覗き込んでいた。
僕はおもわず「お姉ちゃん!うしろ!うしろ!」と叫びそうになった。
それは『8時だよ全員集合』で、背後に幽霊が迫る志村けんに向かって「志村!うしろ!うしろ!」と叫ぶ時の興奮によく似ていた。
生尻の裏側を覗かれているとも知らず、お姉ちゃんは辿々しい手付きでシースルーのパンツを履いた。
そしてそれを履いた瞬間、自分の股間を覗き込み、「やっぱり丸見えだ……」と情けない声で呟いた。
そんなシースルーパンツを履き終えたお姉ちゃんはそのままセーラー服を着た。
それはいつもお姉ちゃんが着ている女子校のセーラー服だった。
セーラー服姿のお姉ちゃんを見て、おっちゃんは「いいねぇ~」と微笑んだ。
そしてその場で体育座りをして欲しいと要求するおっちゃんは、三脚のビデオをお姉ちゃんに向けたのだった。
(つづく)
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