38度5分のキングコブラたち7
2012/05/29 Tue 00:00
19
プチュ・・・クチュ・・・プチュ・・・・・
先程の狂ったような絶叫は消え、今はこんなエロティークな音が四号室に響き渡っていた。
茶髪患者は、目を半開きにさせたまま僕のペニスを銜え、細く長い舌で優しくコロコロと転がしている。
そんな彼女の半開きの目は一瞬ゾッとするほど黒木メイサの目に似ており、そんな彼女の怪しくも美しい目は僕が持つ覚醒剤入りの注射器をジッと見つめていたのだった。
狂った女のフェラは最高に上手かった。
以前、愚人と言う狂った前科者が書いた小説の中に、男にシャブを教えられたシャブ中の女というのは、シャブの味と同時に変態セックスを仕込まれている為にそれはまさに最高のセックスマシーンである、と書いてあるのを読んだことがあるが、実にヤツのいう通りだった。
彼女の舌は、男の感じる部分を全て知り尽くしているかのように亀頭の敏感な部分を優しくヌルヌルと蠢き、そしてその唇はペニスの竿をキュッと締め付けては刺激的に上下に揺れている。僕は、そんな彼女がペニスを銜える唇を指先でソッと触れながら、素直にこの唇にキスをしてみたいと思う。
そんな激しい欲望に取り憑かれた僕は、彼女の唇から静かにペニスを抜き取り、その唾液でタラタラと輝く彼女の唇を覗き込んだ。
「キスをしてもいいいですか・・・・」
そう聞く僕に、彼女は「シャブが先だよ」と僕の手の注射器を見た。
しかし、まだまだコレをやるには早すぎる。コレを体に注入したとたん彼女が豹変するのは火を見るよりも明らかなのだ。しかも、この覚醒剤というヤツには人間を超人に変える興奮剤が含まれているため、これを得た彼女が、いきなりホウレン草を得たポパイの如く拘束具をバキバキっと壊さないとも限らない。
だからコレを彼女にやるのはまだ早すぎるのだ。
「それじゃ、この話しはなかったことにしましょう・・・」
私はそう彼女を見下ろしながら、右手に持っていた注射器の尻を親指で少しだけ押した。
尻を押されて圧迫された注射器の先からは、タラタラタラっとシャブが溢れ出し、僕の手を伝わって零れ落ちていく。
「わかったわ!キスをしてもいいわ!だから待って!お願い!あぁ!やめて!」
彼女はそんな零れ落ちるシャブを見て女らしくも悲痛な声を上げた。
「よし・・・それじゃあ、キスをしますよ・・・絶対に舌を噛まないで下さいよ・・・・」
僕は注射器をソッと彼女の枕元に置くと、彼女の喉仏にスタンガンを押し付けたのだった。
まず僕は、シャブが滴る右手の人差し指を彼女の唇に近付けた。
すると彼女はシャブの液体がベットリと付いている僕の指を、まるで良く飼い馴らされた子犬が飼い主の指を舐めるかのように必死になって舐め始めた。
それを覗き込む僕は、指に絡まる彼女の真っ赤な舌を間近で見つめ、そして彼女と同じように自分の指にソッと舌を伸ばした。
僕の指を間に挟んで、彼女の舌と僕の舌が激しく絡み合った。彼女の舌は生温かくまるでこんにゃくゼリーを舐めているかのように柔らかくそして滑らかだった。
僕はソッと指を外すと、そのまま彼女の口内へ舌を押し込んだ。彼女は抵抗することなく僕の舌を優しく向かい入れ、そして強烈に火照った口内で激しく絡み付けて来た。
(す、凄い・・・・)
僕はそんな彼女の濃厚なキスにクラクラと目眩を感じた。
固定されている彼女の細い体をガッシリと抱きしめ、僕は「うぐうぐ・・・」っと声を洩らしながら彼女の口内を貪る。彼女の口内に溢れる唾液を全て吸い尽くす勢いで猛然と舌を動かしていると、ふいに彼女の舌がピタリと止まった。
彼女はスっと顔を横に向けては僕の口から唇を離すと、「続きはシャブの後でね・・・」っと僕の耳元に生温かい息を吹き掛けたのだった。
体をゆっくりと起こした僕は、彼女の枕元に置いてあった注射器を手にした。
彼女は、いよいよシャブを打ってもらえると思っているのか、目をギラギラとさせながら嬉しそうにハァハァと荒い息を吐いている。
僕はそんな注射器をゆっくりと床に置いた。
「ど、どうしてよ!」
彼女のキラキラと輝いていた瞳が急に貪よりと曇った。
「・・・もう少し・・・後で・・・・」
僕はそう言いながら素早く白衣を脱ぐ。
「ちょ、ちょっと待ってよ!約束じゃない!シャブをくれたら好きなだけヤラせてあげるからその前にシャブを頂戴よ!」
僕はそう叫ぶ彼女を無視しながらさっさとズボンを脱ぎ、靴下を残したままの全裸になった。
そんな僕がベッドに上がっては彼女のM字に固定された太ももを舐め始めると、彼女はまたさっきのようにガンガンと体を揺らしながら「テメェ!いいかげんにしろよ!」と叫び始めた。
僕はガクガクと揺れる彼女の股間に顔を埋め、パンティーの上から彼女の膣に鼻を押し付けては大きく深呼吸をした。
「ヤメロよ!卑怯だろテメェ!ぶっ殺す!ぶっ殺してやる!」
そう叫ぶ彼女のパンティーの股間からは、安物の洗濯洗剤の匂いとチーズのような恥垢の匂いがツーンと漂っていた。
僕はそんな股間に鼻を押し付けながら、彼女の尻とベッドの間に両手を押し込んだ。上を向いた僕の手の平の上に、プリッと丸い彼女の尻がペタッと伸しかかる。
そんな彼女の尻の弾力性を存分に感じた僕は、そのまま腰のパンティーのゴムに指を引っかけ、それをゆっくりと引き始めた。
「ヤメろ馬鹿野郎!死ね!死ね!死ね!うそつき変態野郎!死んじまえ!」
そう叫びながら、ベッドの上でガタガタと暴れる彼女のパンティーを天井に向けられた太ももにスリスリと引き上げると、赤ちゃんがオシメを取り替える時のような姿勢の彼女の股間は、僕の目の前でパックリと口を開けた。
彼女の膣からは、ドロリと濃厚な白濁の汁が垂れていた。
真っ白な太ももの内側と黒ずんだ膣周辺、そしてその黒ずみの中にテラテラと輝くピンク色の膣から白濁の汁がトロリと垂れるその光景は見事なコントラストを醸し出していた。
僕はそんな彼女の股間に迷うことなく舌を押し込んだ。
そんな彼女は2日間風呂には入っていない。ここの病棟の入浴が2日おきという事は、ここを管理している僕は十分知っていることだ。
しかしそんな事は関係なかった。確かに、彼女のソコは強烈なチーズ臭と小便が乾いたアンモニア臭とそしてほのかに香るウンコのニオイがしたが、しかし今の僕にはそれもこれも興奮剤の一種でしかなく、そんな彼女の激臭が愛おしくて堪らなくなっていたのだ。
「お願い!お願いだから先にシャブを頂戴!そうしたら私も一緒に感じることが出来るのよ!だからお願い!お願いだから先にシャブを頂戴!」
膣口にズッポリと舌を入れられた彼女は、泣き叫ぶようにしてそう悲願する。
確かに彼女の言う通りかも知れない。今ここで彼女にシャブを打ってやれば、彼女は、愚人とか言うインチキ作家の言うように最高のセックスマシーンに変身するかも知れないのだ。
「ねっ、ねっ、お願い、あんたの好きなようにしていいから先にシャブを打って。お願い、シャブを打たれてセックスすると、私、オシッコちびっちゃうくらいに感じるの、だから、ね、ね、」
僕は口の回りをヌトヌトに輝かせながら、彼女の股の中でゆっくりと起き上がった。そして彼女の目をジッと見つめながら、右手をベッドの下へとゆっくりと下ろす。
そんな僕の仕草を見て、彼女は引き攣った笑顔で「ハァハァハァ」っと荒い息を吐いている。まるで散歩後の大型犬が水を欲しがるように。
僕は指に挟んだ注射器を彼女の目の前に突き立てた。
「欲しいですか?・・・・」
僕の言葉に、彼女は「うんうんうんうん」っと高速で何度も頷く。
そんな彼女を見つめながら僕が悩んでいると、彼女はマリアのように優しい表情をしながら、「注射と一緒にチンチンも入れてぇ」と甘えた口調で微笑んだ。
そんな彼女を見た僕はもう限界だった。
僕は彼女の足首の血管を指で探すと同時に、腰を動かしながらペニスの先をグチャグチャに濡れた膣に這わせた。
注射針を足首の血管にプツっと刺す。
彼女はそのチクッとする針の刺激だけで「はぁぁぁん・・・」と悩ましい声をあげた。
僕は針を刺したままの状態でゆっくりと亀頭を膣に入れた。強烈な熱が僕の亀頭を包み込み、そこではじめて僕はコンドームをしていないことに気付いた。しかし、今さらコンドームなどできるわけがない。僕も彼女も、今まさに世紀の瞬間なのである。
「早く・・・入れて・・・・」
彼女は注射器を見つめながらいやらしくそう囁いた。
注射器の尻に押しあてていた親指をゆっくりと押した。注射器の中の液体がゆっくりゆっくり彼女の体内へ流れ込んでいく。それと同時に、僕のペニスもゆっくりゆっくり彼女の体内へ滑り込んでいく。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
気持ち良さそうに目を瞑る彼女は、途方もなく長い声を四号室に響かせた。
「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
ペニスが熱い穴の中にズッポリと入った僕も、途方もなく長い唸り声をあげる。
一瞬のうちに注射器の液体が空っぽになった。プツッと彼女の足首から注射針を抜き取る。するとじっとしたまま目を瞑っていた彼女が静かに目を開いた。
そしてギラギラと輝く目で僕を見つめながら、「乱暴に動かして・・・」っと深い息を吐いたのだった。
20
第三特別B病棟。
社会からも家族からもそして精神病院からも見捨てられた狂人達が隔離される現世の地獄。
最初はこんな恐ろしい病棟へ配属され事に激しく病院を恨んだが、しかし、今ではとても感謝している。そう、ここは一般人から見れば地獄だろうが、しかしここで働く僕らからすれば、第三特別B病棟は天国としかいいようがない。
そう思う僕は、すっかりとこの第三特別B病棟に馴れ、そしてここの勤務をエンジョイしていた。
そんな僕の毎週のスケジュールは決まっていた。
月曜日の夜勤は三号室のアル中おばさんに全身を舐めさせ、水曜日の夜勤には四号室の茶髪女にシャブを与えては朝までどっぷりとセックスに浸る。そして金曜日の夜勤では五号室のナメクジ女とSMプレイを楽しみ、日曜日には六号室のハイヒールモモコに似た患者とアナルセックスで燃えた。
それはまるで、4人のセフレを囲っているような気分だった。毎週決まった曜日にセフレの部屋へ行き、狂った変態セックスを楽しむ。それはもちろん無料だし、それにどんなプレイを要求しても彼女達は一切拒否しない。こんな楽しいセックスライフを送りながらも、尚かつ給料まで与えてもらえるなんて、これはもう天国の職場としか表現できなかった。
そんな4人は、まさしく僕のコレクションだ。
ただし1人を覗いては。
それは八号室の人殺しババアだ。ただひたすらに「ごめんなさい」を連発しながら生きている人殺しババアは、顔も上品でスタイルも四十のババアにしてはなかなかイイ。しかも性格が異常に大人しく、いつも何かに脅えているそのビクビクとした雰囲気はサディストな僕には堪らない。是非とも彼女も僕のコレクションの1人にしたかったのだが、しかし、それはタブーだった。
というのは、この殺人ババアは、なんとこの第三特別病棟を仕切るボスである中村の大のお気に入りだったのである。
「死にたくなければ絶対に八号室には近寄らない方がいいですよ。中村は嫉妬深いから・・・」
そう僕に教えてくれたのは前園さんだった。
しかし僕はこの特Bに配属された初日、ズボンの股間をベタベタにしながら八号室から出て来た前園さんを確かに見た。あの日、前園さんは、八号室の患者が失禁したために下着を取り替えていたと言っていたはずだ。
もしかして前園さんは、中村に内緒で・・・・
そんな疑惑を抱いていた僕は、ある日、前園さんと病院の近所にある居酒屋で酒を飲んでいる時、僕が抱いている疑惑を、酒の力を借りながらもストレートに聞いてみた。
すると、そんな僕の質問を、前園さんは「ははははは」っと笑い飛ばした。
「冗談じゃありませんよ。中村の女を寝取るなんて、そんな度胸は私にはありませんよ」
「では、あの時は本当に何もなかったんですか?・・・・」
「いや、あの時はね、実は八号室に中村が来ていたんですよ」
「えっ?・・・昼に来てたんですか?」
「そうなんです。あの時、確か特Aの正看護士が新入りが入るとかで本棟に行ってましてね、そして特Bの鏡嶋主任も、ほら、あなたが配属されるということで特Bにいなかったでしょ・・・だから、それを狙って正看が留守にしている間にどうしてもヤリたいと、中村が言うもんですからね・・・」
「昼間はちょっと危険ですよね・・・」
「そうなんですよ。でもね、あの人、1度言い出したら聞かないから・・・」
「でも、どうして前園さんが八号室に・・・」
「ふふふふ。変態なんですよ中村は。あの人、人に見られながらヤるのが趣味でしてね・・・だから私は中村が八号室に来ている時は、朝まで見せられてますよ、とびっきりな変態セックスを・・・・」
前園さんは呆れた顔でそう言うと、生ビールの入ったジョッキをクピクピと音を立てて飲んだ。そして、唇の回りに白い泡を付けながら「プハっ」とジョッキを口から離すと、「そのうち、市原さんにもお呼びが掛かると思いますよ」と、不気味にニヤリと笑ったのだった。
そんなある日、アパートでぼんやりとテレビを見ながら出勤までの時間をのんびり過ごしていると、いきなり鏡嶋主任から電話があり、新しい患者が特Bに来たから今すぐ病院に来て欲しいとの事だった。
電話を切った僕はウキウキしながら出勤の準備を始める。そう、またしても僕のコレクションが1人増えたのだ。
僕はシャワーを浴びながら、いったいどんな女だろうと胸をトキメカセる。それはまるで、馴染みのデリヘルから「新人が入りましたよ」と電話が掛かって来た時のような、そんなワクワクした気分だった。
特別病棟へと続く地下の階段を降りると、特Bの入口にある鉄格子のゲートの前で白衣を着た医師と鏡嶋主任が深刻そうに話している姿が見えた。
僕はそんな2人に「おつかれさまです・・・」っと挨拶をしながらゲートを潜ると、そこには既に前園さんも来ており、前園さんは僕の顔を見るなり「おつかれ」っと意味ありげに微笑んだ。
前園さんのその微笑みが何を意味するのかわからないまま僕は管理室へ進む。その途中、この病棟に来た新患者が一週間監禁されると言う保護房の中をソッと覗いてみた。
保護房の扉は一般居室の鉄扉とは違い、全面が分厚い強化アクリルとなっているためそこを素通りするだけで部屋の中が隅々まで監視することが出来た。
四方の壁に追突防止用のクッションが張られた4畳半の保護房の床には、薄汚れたスノコの上に真新しいシーツが掛けられた敷き布団が1枚だけポツンと敷いてある。この部屋では掛け布団や毛布を使用することは禁じられているのだ。それは患者が布団の中に隠れて自殺を起こす危険性があるからであり、だからこの部屋は掛け布団や毛布がない変わりに24時間でエアコンが効いていたのだった。
そんな敷き布団だけの布団の上に、小さな女の子がパタリと倒れていた。
見た感じ、まだ未成年者だろうと思われるその少女の両手首には、まるでお洒落なリストバンドをしているかのように白い包帯がグルグルと巻かれていたのだった。
こっそりと部屋の中を覗いている僕の所へ、トタンバケツをぶら下げた前園さんがニヤニヤしながらやって来た。
「女子高生らしいですよ・・・」
そう笑う前園さんのその笑顔の意味を、僕は今やっとわかった。
「さっき私が保護房を掃除してる時に運び込まれて来たんですけどね・・・チラッと見た感じでは、かなり可愛いですよ・・・」
前園さんはそうニヤニヤと笑いながら保護房の中の少女を見つめた。
「自殺未遂ですか?」
女子高生が三度のメシより大好きな僕は前園さんの耳元にソッと聞いた。特Bの入口にはまだ医師や鏡島主任が話しをしているため、派手に喜ぶと怪しまれるからだ。
「みたいですね・・・かなりのウツ病らしいですよ・・・」
前園さんはそう呟きながらアクリル扉に顔を近づけ、擦れるような声で「綺麗な脚だなぁ・・・」っと呟いたのだった。
そんな少女の説明を、管理室に呼び出された僕と前園さんは、鏡島主任から聞かされた。
「西原あずみ十七才、高校生。重症のパニック障害です。半年前から本棟で入院してたんだけど、二週間前の深夜にガラスの破片でバッサリとリストカットをやらかしたんだけど、また今回も今朝方、割れた花瓶の破片でバッサリとやらかしました。はい。っという事で本棟では手に負えないっという事になり、いつもの如くウチが汚物処理を受け持つことになったんだけど、まぁ、よくあるガキのうつ病だろうから、しばらくここにいてすぐに本棟に移るでしょう。ですから、ま、適当に面倒見てやって下さい、以上。あ、前園さん、市原君に保護房の説明、ちゃんと教えておいてね」
鏡島主任は面倒臭そうにそう言うと、少女のカルテが入っているファイルを前園さんに手渡したのだった。
21
5時になると、いつものように鏡島主任は一分の狂いもなく特Bを出て行った。
しかし、非番だったのに急に呼び出された前園さんは、なにやら意味ありげにそのまま管理室に留まり、僕と一緒にカップラーメンの夕食を食べた。
前園さんは監視モニターを見つめながらカップ麺を啜り、そして僕に向かって「今日は金曜だからナメクジ野郎を拷問する日ですね」と笑った。前園さんは僕のスケジュールを全て知っている。
「今夜はあのヌメヌメ女にどんな拷問するんです?」
前園さんは楽しそうに僕の顔を覗き込んだ。
前回、ナメクジ女にはポータブルDVDプレイヤーでTVチャンピオンの「大食い選手権」を見せてやり、その後、彼女を床に仰向けに寝かせては彼女の大きく開いた口の中にモリモリとウンコをしてやり、TVチャンピオンのアナウンサーの真似をして「さぁ、ギャル曽根は果たしてウンコを全部食べきる事ができるでしょうか!」などと実況中継しながら彼女をギャル曽根に変身させようと扇動してみたのだが、しかし彼女は口の中に僕のウンコがグニュグニュグニュっと溢れると、おもいきり「オゲェっ!」と下品に糞を吐き出し、おかげで僕は自分のウンコの逆噴射を浴びると言う凄まじい結果に終わってしまい、ホンキでもう2度とあのナメクジ女とは今後プレイをしたくないと思っていた矢先だったのだ。
それを前園さんに話すと、前園さんはゲラゲラと笑いながら「私もソレ、やったことあります!」と可笑しそうに涙を流した。
僕はそんなゲラゲラと笑う前園さんを見ながらも、ソッと視線を保護房へ向けた。
この管理室からは、監視すると言う意味から保護房は丸見えなのだ。
すると、そんな僕の視線に気付いたのか前園さんが慌てて首を振る。
「新入りはダメですよ。あの部屋には本棟のカメラが付いてますから、全て見られちゃいますからね」
前園さんはカップ麺の端をプッと飛ばしながら慌ててそう言ったのだった。
前園さんは、僕の「わかってます」という返事を聞くなり、少し安心した表情を見せ、そして膝の上に飛び散ったカップ麺のカスをひとつひとつ指で摘みながら「ま、保護房から出て来るまでの間は、激カワ女子高生のトイレシーンや入浴シーンで我慢するとしましょうよ」と無理に作った笑顔ではははははっと笑ったのだった。
その夜、非番なのに遅くまで特Bに残っていた前園さんは、時計を見ながら「そろそろだな・・・」っと呟いた。
僕はテレビに映る刑事モノのドラマをボンヤリと眺めながら「何がですか?」と、立ち上がる前園さんを見上げた。
「うん。新入りが来た日はね、中村に紹介しなくちゃならないんだよ・・・・」
前園さんはそう言いながら吸いかけの煙草を灰皿に揉み消した。
「えっ?こっちに来るんですか中村・・・」
僕は慌てて事務椅子を座り直した。僕はあの日以来、まだ1度も中村とは顔を合わせておらず、とても気まずかったのだ。
「うん、今から迎えに行って来るよ・・・」
前園さんはそう言いながら大きな背伸びをすると、そのまま管理室を出て行ったのだった。
前園さんと共に中村が特Bにやって来たのはそれから30分も経った頃だった。
相変わらずランニングシャツからイレズミを曝け出した中村は、特Bの管理室に入って来るなり、僕に「よお、元気か」と笑いかけた。
慌てた僕は、管理室の簡易ベッドに座る中村に「あの時はすみませんでした・・・」っとすかさず謝る。すると中村は「いいよいいよそんな事」と笑いながら、すかさず僕の顔をソッと覗き込み「オマエもシャブ喰ってんのか?」と僕に聞いた。
「えっ?・・・いや僕は・・・」
唐突にそんな質問をされた僕が困っていると、前園さんが横から口を挟んだ。
「いや、違いますよ。あれはね、彼が四号室の患者の調教用のエサとして使ってるんですよ」
前園さんが中村にそう答えながら、僕に「ねっ」と同意を求めると、中村はジャージの股間をボリボリと掻きながら「あ、それでいつも毎週水曜日になると前園がシャブを仕入れに来るんだな」と、とんでもなく下品な声でギャハハハハハハっと笑い出したのだった。
そんな中村は、管理室からミニ双眼鏡を使って保護室を覗き始めた。
保護室に設置されている監視カメラは部屋の隅々まで監視することが出来るために、廊下からドアを覗くとその姿まで本棟に見られてしまい、特A患者の中村がカメラに写っていたら大変な騒ぎになってしまうという事から、その為中村はこうやって管理室からこっそりとミニ双眼鏡で保護室を覗いていたのだった。
中村は双眼鏡を覗きながら、「寝てるからよく見えネェけど・・・なかなかの上玉だな・・・」とポツリと呟いた。そしてまたしても股間をボリボリと掻くと、双眼鏡を覗いたまま「前園、あんなに若い娘見てたらコーフンして来たよ・・・ちょっと遊んで行くからよ、コレ、用意してくれや・・・」と前園さんに言い、そしてジャージのポケットの中から覚醒剤をサッと取り出した。
そんな中村からシャブを受け取った前園さんは、手慣れた手付きでさっさとシャブを用意すると、まだ双眼鏡を覗いてはヘラヘラと笑っている中村の肘に注射針をプツッと打ち込んだのだった。
シャブを注射してからの中村は、態度がガラッと変わった。
ミニ双眼鏡を覗きながら前園さんの携帯電話でどこかに電話を掛け「今月の支払いはどうなってんだ!おう!テメェの娘、今夜中に攫っちまうぞコラぁ!」と何やら物騒なことを叫び始める。そして散々怒鳴り散らした挙げ句、双眼鏡と携帯電話を同時に空中に放り投げると、「前園!行くぞ!」とフラフラしながら立ち上がった。
この男は、自分の親分と兄貴分を拳銃で撃ち殺した凶悪犯だ。しかも重度の薬物依存症であり、こんなただでさえ凶暴なヤツがシャブを喰らうとなれば・・・今の僕達はまさに野生のゴリラと一緒にいるようなそんな状況だった。
前園さんもそれには気付いているようで、中村の言動には逐一気を使いながら妙にビクビクと脅えている。僕は、床で粉々に割れた双眼鏡のレンズを恐る恐る片付けながら、早くこの野生のゴリラが帰ってくれないものかと額に脂汗を滲ませていた。
しかし、そんなゴリラは、やっと管理室を出て行くかと思いきや、いきなり僕に振り返った。
「・・・兄ちゃん・・・今夜、俺に付き合えや・・・・」
そう僕を見つめる中村の目は、精神異常者特有のドロドロと濁った目をしていた。恐らく、ここで僕が断れば、この野生のゴリラはそこらじゅうの物を手に取り、腹一杯に暴れることだろう。
僕がチラッと前園さんを見ると、前園さんはゴリラの視界から外れながら「うんうん」と必死に頷いていた。恐らくそれは、「うん」と素直に頷けと言う合図なのだろう。
それに気付いた僕は、中村のそのヘドロで汚れたドブ川のような目をジッと見つめ、素直に「はい」と頷いた。
そんな僕を見て、中村はいきなり上機嫌になった。そして僕の肩に手を回すと、僕の耳元に口を押し当て「なんだったら、オマエの四号室のコレも一緒に呼んで乱交すっか?」と、半分にぶっちぎれた小指を僕に見せつけながらヘラヘラと笑う。
「いえ・・・・」
僕が戸惑いながら断ると、中村は更に僕の耳に口を押し付け、中村のヌルヌルとする唇を僕の耳たぶに触れるくらいに押しつけながら、「まぁ、いいさ、女がいなくてもよ、ギンギンに興奮するような激しいヤツを、たっぷりと見せてやっからよ」と、森進一のような声で囁き、ギャハハハハハハハハハと大声で笑い出したのだった。
(つづく)
《目次に戻る》 《第8話へ続く》
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